2015年4月、「ステップワゴン」はフルモデルチェンジされ、5代目となりました。先代よりも丸みを帯びたフォルムのボディに抑揚を強調するプレスライン処理が施され、サイドビューとリアビューは左右非対称であるなど、歴代モデル随一の個性的な雰囲気を醸しています。ボディサイズは、全長4,690mm×全幅1,695mm×全高1,840mm~1,855mmで、全幅に関しては伝統の5ナンバーサイズを維持しています。
そして派生モデル「スパーダ」も、先代に続き最初から用意されています。こちらは基本設計は同一ながら、エアロパーツなどの専用エクステリアを備え、スポーティなムードを演出しているのが特徴です。ただ、前後にエアロフォルムバンパーを装着した為、全長が4,700mmを超える4,735mmとなり、2代目スパーダ以来の3ナンバー登録となります。
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わくわくゲートとダウンサイジングターボ
先代から低床設計が受け継がれると共に、ホイールベースが35mm延長された事もあり、クラストップの居住性を実現しています。車両重量は、1,630kg~1,770kgとなり、歴代モデルで最も重くなっています。機能面での最大の特徴は、「わくわくゲート」と称する、縦横両方向に開くテールゲートを備える事です。これは、後部座席への乗り降りや狭い場所での荷物の積み下ろしには横開き、大きな荷物の積み下ろしには縦開きと使い分ける事で、利便性の向上を図ったものです。
又、エンジンの刷新も、新形の大きなセールスポイントになります。これまでの2L直4NAエンジンから、新開発の1.5L直4直噴VTECターボエンジン「L15B型」に代わり、大幅なダウンサイジングを果たしています。国産車で欧州車のようなダウンサイジングターボエンジンを採用する例は珍しく、新たな潮流として注目されます。
スペックは、最高出力150ps、最大トルク20.7kgmで、従来の2Lエンジンと同等以上のパフォーマンスを発揮します。一方、燃費は15.4km/L~17km/Lで、先代の13.6km/L~15km/Lと比較して向上を果たし、ダウンサイジングターボの面目躍如となっています。トランスミッションは、先代に引き続き全グレードがCVTとなっています。
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安全運転支援システムはオプション
又、新たにミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせによる安全運転支援システム「ホンダ・センシング」をオプション設定した事も、特徴のひとつになっています。これは、衝突被害軽減ブレーキシステムの一種で、アダプティブクルーズコントロールや車線逸脱防止システム、車線維持支援システムなどの機能が備わった本格的なものです。
このクラスのミニバンとしては初となるオプション装備であり、競合他車との差別化が図られています。
ホンダ ステップワゴンの歴史
ミニバンというカテゴリーは、国内では1980年代に「三菱シャリオ」や「日産プレーリー」が開拓したもので、1990年代に入ると市場での人気が上昇していきました。当時ホンダはこのカテゴリーの車種を持っておらず、販売の面で苦しい状況に置かれていましたが、1994年に同社初のミニバンとなる「オデッセイ」を発売すると予想以上の大ヒットとなり、それ以降ミニバンを積極的に開発するようになります。
特徴的なボディと車名の由来
そうした流れの中、「ステップワゴン」は、同社第2弾のミニバンとして1996年5月に発売されました。車高が比較的低目に抑えられていたオデッセイや他社のミニバンと異なり、ステップワゴンはハイトの高い箱型のボディを採用した事が特徴でした。当時のハイト系の乗用車といえば、商用ワンボックス車をベースに乗用ワゴンとして仕立てた車種が大半であり、専用設計のハイト系ミニバンは前例のないものでした。
ステップワゴンという車名は、「ステップアップ」のステップにワゴンを掛け合わせたもので、1972年~1974年に掛けて販売された軽商用車「ライフステップバン」とも関連付けて命名されたものです。外観の印象も、ライフステップバンの拡大版ともいえるもので、ワンボックス車に匹敵する車高と独立したボンネットを備える2ボックススタイルは、個性的な雰囲気を醸していました。
優れたパッケージングと使い勝手
駆動方式はオデッセイと同様FFがベースで、フルタイム4WDもラインナップされました。全幅は5ナンバー枠に抑えられ、日常ユースでの取り回し性を確保する一方、容積の大きなボディはパッケージングに優れ、十分な収容力を備えていました。又、フロアが低く設計された為、ワンボックス車よりも遥かに乗降性が優れているのも美点でした。
こうした特徴を備えたステップワゴンは、たちまち消費者の心を捉え、発売後すぐにベストセラーとなりました。その後現在に至るまで、ホンダの主力車種のひとつとなっています。
低床化と全高ダウンにより走行安定性は向上したが、セレナにトップの座を奪われた3代目
日産セレナ、トヨタ ノア/ヴォクシーなどライバル車の攻勢に押され、3代目からはやや苦戦傾向にあります。日本の路上でメリットの大きい5ナンバーモデルを常に用意している事や、居住性や使い勝手の向上、高速などでの走行安定を図る為、低床化に取り組むなどライバルにない独自の進化を遂げています。
過去に実施された4度のフルモデルチェンジは、必ずしもキープコンセプトに拘らず、時流に則った変更を行った点も、人気が廃れなかった要因として挙げられます。
ホンダ ステップワゴン歴代モデル
初代 RF1 (’96-’99):トール系ミニバンの元祖として登場し、大ヒット
初代「ステップ ワゴン」は、1996年5月に、国産車初のトール系ミニバンとして発売。ホンダのミニバンとしては、その2年前に発売された「オデッセイ」に次ぐ第2弾でしたが、それとは違う個性が与えられました。3ナンバーサイズで車高が比較的低く抑えられていたオデッセイと事なり、5ナンバーサイズの全幅とワンボックス車並みの全高を持つ、独特のディメンションが特徴でした。
スタイリングは、直線を基調としたボクシーなもので、加飾がなくシンプルで、実直な雰囲気を醸していました。後席にアクセスする為のドアは、左側のスライドドアのみで右側にはなく、テールゲートと併せて4ドア仕様でした。ボディサイズは、全長4,605mm×全幅1,695mm×全高1,830mm~1,845mmで、全幅より全高の数値の方が大きいディメンションは、ワンボックス車以外では異例のものでした。車両重量は1,410kg~1,530kgで、ボディサイズの割には軽量でした。 初代ステップワゴンの詳細へ
2代目 RF3 (’01~’03):キープコンセプトのモデルチェンジで着実に進化
2001年4月にフルモデルチェンジ。キープコンセプトのモデルチェンジが行われ、エクステリアは先代の雰囲気を色濃く残したものでした。又、後席用のスライドドアを左側のみに装備する点も踏襲されました。ボディサイズは、全長4,670mm×全幅1,695mm×全高1,845mm~1,860mmで、全長と全高は先代よりも若干拡大されました。
一方、全幅に関しては5ナンバーサイズが踏襲され、最小回転半径は先代よりも0.3m小さい5.3mとなった為、取り回し性はむしろ向上しました。一方、居住性に関しては、ボンネットが短縮され室内長が延長されると共に、フロアの低床化とフラット化により室内高も大きくなり、室内空間は先代にも増して広大なものになりました。 2代目ステップワゴンの詳細へ
3代目 RG1 (’05~’09):低床化に加え車高を下げ走行安定性を向上
2005年5月にフルモデルチェンジ。これまでの箱型フォルムから脱皮し、低くスタイリッシュなフォルムへと変貌を遂げた事が最大の特徴でした。スラントしたノーズや傾斜の強いフロントウィンドウ、ウェッジシェイプを意図したウエストライン、ボディ側面のプレスラインなど、躍動感を演出したスタイリングが特徴でした。
又、Aピラーの傾斜が強くなった事による斜め前方視界対策として、三角窓が新設されました。そして、後席用スライドドアが新たに右側にも設けられ、左右対称のデザインとなった事も大きな変更点でした。先代同様、上級グレードにはパワースライドドアが採用されました。 3代目ステップワゴンの詳細へ
4代目 RK1 (’09~’15):箱型ボディに先祖返りし、パワートレインを刷新
2009年10月にフルモデルチェンジ。3代目は、初代から続いた箱型ボディを捨て、乗用車的なシルエットをまとって登場しましたが、このモデルチェンジにより先祖返りをし、ボクシーなスタイリングが復活しました。そして、ノーズは更に短くされ、Aピラーが立てられるなどの変更も行われました。全体的に、1.5ボックス的なフォルムが特徴でした。
ボディサイズは、全長4,690mm×全幅1,695mm×全高1,815mm~1,830mmで、全幅を除き先代よりも拡大されました。プラットフォームは先代と共通で、特徴であった低床・低重心パッケージはそのまま受け継がれました。車両重量は1,580kg~1,730kgで、ボディの容積が拡大された分、先代よりも60kg~80kg重くなりました。 4代目ステップワゴンの詳細へ
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