ホンダ オデッセイ アブソルートEX(2.4L 直噴)のオーナーがステップワゴンを試乗
オデッセイを買ってから1年ちょっと。オデッセイは気に入っている点も多いものの、かなりハードな乗り心地が気になり、ちょっと買い替えようかな…、と思っています。そんな時に発売になったのがステップワゴン。新型のステップワゴン、新開発の1.5Lダウンサイジングターボエンジン、わくわくゲートなど非常に気になる点も多い力作。さっそく試乗に出掛けました。
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外観デザインはどう?
今回試乗したのはステップワゴン スパーダ。先代のスパーダと言えば、やはりノーマルモデルと比べてかなりアグレッシブなフロントフェイスだったのが、新型はかなりマイルド。最近ではアルファード/ヴェルファイアに代表されるような、これでもか!と言わんばかりの超巨大メッキグリルで存在感を強烈にアピールするクルマが流行している。そんな中、今回のステップワゴンは主張控えめ。これはユーザーリサーチの結果なんだろうか?それともホンダの良心なんだろうか。個人的には、これでもかグリルはちょっとヤリ過ぎな所まで来ていると思うので、これは好印象。
スパーダのタイヤは205/60R16。(通常版ステップワゴンも同サイズ。)ちなみにクールスピリットは205/55R17。オデッセイアブソルートEXの18インチ(225/45R18)の乗り心地の悪さに辟易しているので、スパーダが通常版と同じ205/60R16というのは好感がもてる。いくらイキった所でミニバンは家族のクルマ。乗り心地が悪ければ家族の総スカンを食らってしまう。
リアビューの最大の特徴と言えば、何と言っても「わくわくゲート」。外観的にはこれによって左右非対称なデザインとなる。個人的にはこのデザインは好き。好きじゃない人はブラックを選べば非対称の部分(左側のブラックアウトしている部分)が目立たなくなるので、そちらがおすすめかも。
わくわくゲートを開けたところ。ホンダのサイトでは、ここから子供が出入りできるので、楽しいですよ的な事を主張しているけど、個人的には子供をあまり出入りさせたくない。本来汚れない部分も汚れるし、内側から勢いよく子供が開けて、後ろの壁にドアをぶつけられても困る。
でも、我が家的にわくわくゲートは非常に良い。ウチの駐車場の後ろ側は壁でスペースが狭く、駐車している状態だと、ミニバンではリアドアを開ける事が出来ない。なので、トランクスペースに荷物を載せている時は、駐車する前に荷物を下しておく必要がある。駐車してしまってから「あ、荷物があるんだった…」と、エンジンを再始動してクルマを少し前に出し、荷物を下ろして駐車し直す、という事も度々あった。なので、わくわくゲートがあれば、こんな面倒からも解放されるな、と思った。
室内の印象は
まずは運転席周り。オデッセイと比べると質感は高くない。当たり前だけど。ステアリングの革の質感は明らかにグレードの違いを感じた。「本革」と言っても、革の質感は様々。我が家にもう一台あるマツダフレアクロスオーバー(ハスラーのOEM)の本革ハンドルは、さらにクオリティが低い。本革ハンドルはグレード違いの車を一度さわり比べると面白いです。
全体のデザイン的には、オデッセイの場合は削ぎ落としたシンプルな印象だけど、ステップワゴンはドリンクホルダーをそのまま装備していたりと実用重視。オデッセイのドリンクホルダーは、センターコンソールの下の方にあるので、こっちの方が使いやすいと思う。
あと、スタートスイッチが黒になってる。オデッセイはスタートスイッチが赤。なんで気になるかと言うと、オデッセイに乗っていて、ハザードスイッチを押そうとした時に間違えて何度かスタートスイッチを押してしまった事がある。同じような位置に大きな赤いボタンを配置するのは危険だなと思っていたので、これは良いと思う。
それと、エアコンのスイッチ。オデッセイ(あとフィットも)はツルツルのタッチパネルだったけど、ステップワゴンは一般的なボタン式。好みもあるけど、ボタン式の方が良いと思う。ツルツルのタッチパネルは、パッと見は良いけど、傷が気になるし、何よりブラインドタッチが出来ない。
2列目の居心地は甲乙つけがたい。頭上の広さならステップワゴンだが、オデッセイのシートはコストも掛かっており(その分高い訳だけど)、広さも程よくあるので居心地は良い。ただ、ステップワゴンには前席の背中に折り畳みテーブルがあり、そこにドリンクホルダーもある。一方のオデッセイにはドリンクホルダーがなく(厳密に言うとスライドドアの前方にあるが異常に使いにくい)、家族はステップワゴンの方が喜ぶかもしれない。
ダウンサイジングターボの印象はどうか?
さて、いよいよ試乗となった。オデッセイを購入した店舗だったので、営業マンとも顔見知りだった事もあり、お好きにどうぞという事で一人での試乗。せっかくなので燃費計をリセットし、普段オデッセイで走っている道を7キロほどエアコンONの状態で走った。
まずはエンジンの印象。1.5Lダウンサイジングターボはどうなんだろう?という興味が強かったが、良くも悪くも「普通」の印象。小さい排気量だなぁ、という低速域でのトルク不足感は殆ど感じない。そしてターボラグも感じない。エンジン音が2.4L直噴と比べると、ちょっと低音でこもった印象は少し受けるくらい。グッと踏み込んだ時のパワー感も2.4Lより明らかに劣るという事はなかった。
スペックは
オデッセイ 2.4L直噴:190ps/6,400rpm、24.2kgf・m/4,000rpm
ステップワゴン 1.5Lターボ:150ps/5,500rpm、20.7kgf・m/1,600-5,000rpm
と、出力的にはオデッセイの方が高いものの、ステップワゴンのトルクは1,600rpmで最高値に達する。この辺が出だしの力強さの差を感じにくい理由だと思う。意識的に高回転まで引っ張れば違いが出るかもしれないが、ミニバンなので5,000回転以上の出力がどうとか気にする必要はないと思う。実用的にはアイドル回転~3,000回転あたりまでのトルク特性が重要でしょうね。
燃費は?
7キロほどの市街地走行(エアコンON、ちょい渋滞)をして、燃費計はリッター7.2kmでした。同じ条件で普段走り回っているオデッセイはリッター7.0kmで、ほぼ同じ燃費でした。期待としてはもう一声、リッター9km位いってると、イイね!ダウンサイジング!となるのだけど、車両重量(オデッセイ1,810kg、ステップワゴン1,700kg)と110kgの差で、市街地での走行性能もほぼ同じだったので、そんなもんかもしれませんね。高速道路や流れの良い郊外だと、もっと差が出るかもしれません。
乗り心地はどうか?
オデッセイ アブソルートEXで最も気になっていた点、それは乗り心地の悪さでした。結論から言うと、ステップワゴン スパーダの乗り心地は普通に〇でした。とても路面の荒れた所をわざと通ったりもしましたが、キツい突き上げもなく、ユッサユッサ揺すられる事もなく、上手にいなしていました。
ただし、「ハンドリング」という面でみるとオデッセイは抜群に素晴らしく、カーブではある意味スポーツカーのような手応えを感じる事が出来るけど、ステップワゴンは良くも悪くも普通のミニバンの印象です。
総合評価:4.0 (5点満点評価)
オデッセイの乗り心地問題やフィットHVのリコールなど、ここ最近のホンダ車は新型車発表ラッシュをモロに反映したかのような煮詰めの甘さを感じる事が多かったけど、ステップワゴンに関しては新開発エンジンやわくわくゲートなどの新機軸を採用した割に、乗り心地などの細やかな煮詰めを行っている感じを受けた。非常にまっとうな商品だと思います。商品の完成度としては満点だと思います。
マイナス要素としては2つ。1つ目はナビ。けっこういい値段を取る純正ナビの使い勝手が非常に悪い。iPadなどのタブレットに慣れている現代においては、ビックリするくらいイライラする操作感です。
もう1つは価格。クールスピリットにナビやら右側電動スライドやらを付けていくと300万円はすぐに突破。上級モデルでのオデッセイとステップワゴンの価格差は20万円くらい。そうなってくると、値引き幅を考えるとオデッセイと殆ど変らなくなりそう。両車を見積もってみると、悩んじゃうかもしれません。