マツダのスペシャリティカー「コスモAP/コスモL」は、1981年9月に6年ぶりとなるフルモデルチェンジを実施し、車名がシンプルな「コスモ」となりました。同時にフルモデルチェンジを果たした「ルーチェ」の姉妹車種になると共に、ボディ・バリエーションが多彩になった事が先代との大きな相違点でした。
2ドア/4ドアHT/セダン 3種類のボディ
ボディのバリエーションは、2ドアハードトップとピラーレスの4ドアハードトップ、そしてピラー付の4ドアセダンの3種類が用意され、生産の都合上それぞれ時期を若干ずらして発売されました。コスモの冠名を持つモデルで4ドアボディが用意されたのは、この代が最初にして最後となりました。
ボディサイズは、先代よりも一回り拡大され、全長4,640mm×全幅1,690mm×全高1,340mmとなり、ホイールベースも100mm以上長い2,615mmとなりました。一方、車両重量は最も重いモデルで1,185kgで、先代よりも軽量化されていました。サスペンションは、前ストラット式/後セミトレーリングアーム式で、歴代コスモで初めて4輪独立懸架となりました。
スタイリングは、いずれのボディも直線を多用したシャープな造形で、特に2ドア/4ドアハードトップはリトラクタブルヘッドランプ採用によるスマートなフロントマスクが特徴でした。又、2ドアハードトップは、先代のAPと同様Bピラー部に小さなウィンドウが備わりました。そして、ダッシュボードも外観同様直線を基調としたデザインが採用されていました。
マツダ コスモ 2ドアハードトップのCM
マツダ コスモ 4ドアハードトップのCM
ロータリー/レシプロ/ディーゼルの3本立て
エンジンは、発売当初は2Lレシプロガソリンエンジン(最高出力110ps/最大トルク17kgm)のみでしたが、追って2.2Lディーゼルエンジン(4ドアセダンのみに設定)と、6ポート式に改良された12A型ロータリーエンジン(最高出力130ps/最大トルク16.5kgm)が追加されました。トランスミッションは、5速MTと3速トルコンATが用意され、駆動方式は先代同様FRでした。
翌1982年10月に、ロータリーエンジン初のターボチャージャー付となる12A-T型エンジン(最高出力160ps/最大トルク23kgm)を搭載したグレードが追加されました。更に1983年10月に初のマイナーチェンジを実施し、4ドアハードトップのヘッドランプを固定式に変更すると共に、4ドア系に13B型ロータリー・スーパーインジェクションエンジン(最高出力160ps/最大トルク20.5kgm)搭載グレードを設定しました。
1984年9月のマイナーチェンジでは、2ドアハードトップも固定式ヘッドランプに変更されました。その後、1986年9月に行われたルーチェのフルモデルチェンジと同時に、姉妹車関係が解消され、4ドア系ボディがカタログ落ちしました。唯一、2ドアハードトップのみが残り、1990年3月に「ユーノスコスモ」に引き継がれるまで生産が継続されました。
3代目コスモはマツダの意欲作であり、従来のモデルよりもボディとエンジンのバリエーションが豊富な点を特徴としたものの、個性的なスタイリングが市場に受け入れられず、販売は先代と比較し芳しくありませんでした。
先代モデル:2代目コスモ
後継モデル:4代目コスモ
歴代コスモ