トヨタは2001年4月に、前年に立ち上げた「WiLL」ブランド第二弾となるクロスオーバータイプのパイクカー「VS」を発売しました。前作の「Vi」が、「かぼちゃの馬車」をモチーフとして女性ユーザーをメインターゲットに開発されたのに対し、VSでは一転して「ステルス戦闘機」をモチーフとした精悍かつ男性的なモデルとなりました。
個性的なスタイリング
プラットフォームは「カローラ」ファミリーや「プリウス」などと共通のMCプラットフォームで、ボディタイプは5ドアハッチバックでした。スタイリングは全高を抑えたフォルムに加え、ボディ後方に向かって高くなるベルトラインとガラスエリアの小さいサイドウィンドウ、逆五角形のリアウィンドウなど個性的な造形を備えていました。
ボディサイズは全長4,385mm×全幅1,720mm×全高1,430~1,440mmの3ナンバーサイズで、ホイールベースは2,600mm、車両重量は1,090~1,220kgでした。駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意され、サスペンション形式はフロントが共にマクファーソンストラット式で、リアはFF車がトーションビーム式、フルタイム4WD車がダブルウィッシュボーン式でした。
発売当初の搭載エンジン及びグレードは、1.8L直4DOHC VVT-iの1ZZ-FE型(最高出力136ps/最大トルク17.4kgm)搭載のFFグレード「1ZZ-FE 1.8VVT-i 2WD」、チューニングの異なる1ZZ-FE型(最高出力125ps/最大トルク16.4kgm)を搭載する4WDグレード「1ZZ-FE 1.8VVT-i 4WD」、1.8L直4DOHC VVTL-iの2ZZ-GE型(最高出力190ps/最大トルク18.4kgm)搭載のFFグレード「2ZZ-GE 1.8VVTL-i 2WD」の3タイプでした。
インテリアも戦闘機テイスト
トランスミッションは、当初は全車4速トルコン式ATとの組み合わせでした。一方インテリアは、メーターはレーダースコープを、チェンジレバーはスロットルレバーを、ステアリングホイールは操縦桿をモチーフにデザインされていました。安全装備面では、全車にSRSデュアルエアバッグシステム、EBD付きABS、ブレーキアシスト、フォースリミッター&プリテンショナー付きシートベルトが標準装備されました。
そして2002年1月に、1.5L直4DOHC VVT-iの1NZ-FE型エンジン(最高出力110ps/最大トルク14.6kgm)+4速トルコン式ATを搭載するFFグレード「1NZ-FE 1.5VVT-i 2WD」が追加されました。同時に、2ZZ-GE型エンジン搭載車に6速MT仕様が追加されると共に、同パワートレインを搭載するインターネット限定車「レッドスペシャル」が設定されました。
更に同年5月に、同じく2ZZ-GE型エンジン+6速MTを搭載するインターネット限定車「ホワイトスペシャル」が設定されました。追って同年7月に、ボディカラーの見直しと共に、1ZN-FE型エンジン搭載の限定車「ホワイトパールリミテッド」が設定されました。次いで同年12月に、1NZ-FE型エンジン搭載車に「平成12年度排出ガス基準75%低減レベル」に適合させる為の改良が加えられました。
そして2004年4月に、販売ネットワークであるビスタ店がネッツ店と統合された事に伴い、生産終了となりました。