ダイハツのクロスカントリー型SUV「タフト」は、1974年8月に同社初の本格的4WD車として発売が開始されました。当時のこのカテゴリーの車種は、排気量2L~3L超クラスの「トヨタ・ランドクルーザー」や「日産・パトロール」、「三菱・ジープ」が主流で、その下のクラスがいきなり軽規格の「スズキ・ジムニー」になっていた為、その中間クラスの車種を望むユーザー層を取り込む目的で市場に投入されました。
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ジムニーより一回り大きいボディ
ボディは実用性重視のボクシーかつ質素なデザインが採用され、ジムニーを一回り拡大したような雰囲気を備えていました。ボディのバリエーションは、幌ドア及びメタルドアの2種類の幌トップ仕様の他、FRP製トップ+メタルドア仕様のレジントップ、フルメタルボディのバンの計4種類が設定されました。ボディサイズは全長3,320mm×全幅1,460mm×全高1,860mm、ホイールベースは2,025mmでした。
このサイズは360cc規格であった当時のジムニーよりも一回り大きく、ランドクルーザーなどよりは遥かにコンパクトなものでした。車体の基本骨格と足回りは、クロスカントリー型4WD車の定番であったラダーフレームと4輪リジット・リーフ式サスペンションの組み合わせで、車両重量が初期型で975kgとこのカテゴリーとしては軽量だった事と併せ、優れた悪路走破性が期待出来るスペックでした。
インテリアは、エクステリア同様機能性を優先したデザインで、鉄板剥き出しのインパネにシンプルな3連式メーターが備わるだけの簡素なものでした。エンジンは、発売当初搭載されたのは1.0L直4OHVガソリンのFE型で、最高出力58ps/5,500rpm、最大トルク8kgm/4,000rpmのスペックを持ち、トランスミッションは副変速機付の4速MTが組み合わせられました。4WDの方式は、当時として一般的だったパートタイム式でした。
ハイパワー版を追加
そして1978年9月にマイナーチェンジを実施し、2.5L直4OHVディーゼルのDG型エンジン(最高出力62ps/3,600rpm、最大トルク14.8kgm/2,400rpm)及び1.6L OHVガソリンのトヨタ製12R-J型エンジン(最高出力80ps/5,200rpm、最大トルク12.5kgm/3,000rpm)を搭載するグレードが追加され、動力性能に対する不満の声に応えました。同時に、ガソリン車の車名が「タフト・グラン」に変更されました。
次いで1982年11月、フロントグリルのデザインが40型ランドクルーザーを彷彿とさせるものに変更されると同時に、ディーゼル車のエンジンが排気量を2.8Lに拡大したDL型に置換され、スペックが最高出力74ps/3,600rpm、最大トルク17.5kgm/2,200rpmに向上しました。そして1984年4月、フルモデルチェンジにより車名が「ラガー」に変更され、タフトの車名は1代限りで消滅しました。
タフトは、人気の面では税制面で有利だったジムニーには遠く及びませんでした。