ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1982年11月、コンパクトクラスと呼ばれたW123型より更に小さなボディを持つ4ドアセダン「190」シリーズを発売しました。小さいながらもW126型「Sクラス」を彷彿とさせる風格あるエクステリアを備え、優れたトータルバランスと相まって11年に渡り生産が継続されるロングセラーカーとなりました。
優れた空力特性を実現
Cd値0.33の優れた空力特性が備わるボディのサイズは、全長4,420mm×全幅1,678mm×全高1,385mmで、W123型よりも全長が約300mm、全幅が約100mm小さく、日本市場においてはメルセデス・ベンツ車初の5ナンバーモデルとなりました。又、ホイールベースはW123型よりも130mm短い2,665mmに設定されていました。
駆動方式は他のメルセデス・ベンツ車同様FRで、搭載エンジン及びグレード体系は、当初ガソリン2L直4SOHCキャブレター仕様(最高出力89ps)の「190」と、同電子燃料噴射仕様(最高出力124ps)の「190E」がラインナップされました。組み合わせられるトランスミッションは、4速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
スポーティモデルを追加
サスペンション形式は他のメルセデス・ベンツ車と異なり、フロントに同社初のストラット式が、リアにはマルチリンク式が採用されました。そして1983年9月、新グレードとして2.3L直4SOHCエンジン(最高出力135ps)搭載の「190E2.3」と、英国コスワース製2.3L直4DOHC16Vエンジン(最高出力185ps)搭載のスポーティモデル「190E2.3-16」が追加されました。
同時に、初のディーゼルエンジン車として2L直4SOHC(最高出力72ps)搭載の「190D」がラインナップに加わりました。次いで1986年に2.5L直5SOHCディーゼルエンジン(最高出力90ps)搭載の「190D2.5」が、1987年に2.6L直6SOHCガソリンエンジン(最高出力165ps)搭載の「190E2.6」が追加されました。
更に1988年にはフェイスリフトが実施された他、2.5L直5ディーゼルターボエンジン(最高出力122ps)搭載の「190 2.5D」が追加になりました。同時に、190E2.3-16のエンジンが2.5L(最高出力207ps)に拡大され、グレード名が「190E2.5-16」となりました。追って1989年、そのホモロゲーションバージョンとなる「190E2.5-16エボリューション」の限定販売が開始されました。
このエボリューションモデルは、翌1990年に最高出力を235psまで高めると共に大型リアスポイラーを採用した「エボリューションⅡ」に進化しました。そして1993年、初代「Cクラス」(W202型)にバトンタッチして生産終了となりました。日本市場においては、欧州でのリリースから3年が経過した1985年にまず190Eの導入が開始されました。
次いで1986年に190E2.3-16と190D2.5が、1987年に190E2.6が追加されました。続いて1988年にフェイスリフト版に切り替えれると同時に、190E2.5-16の導入が開始されました。次いで1990年に190E2.3が追加されました。