イギリスの高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティンは、2003年9月のフランクフルト・ショーにおいて「DB7」の後継モデルとなる新型高級2ドア・2+2シーター仕様スポーツカー「DB9」を発表、翌2004年にデリバリーを開始しました。キープコンセプトによるモデルチェンジながら、最新の電子デバイスが導入されるなどのアップデートが図られました。
DB7からボディサイズを拡大
ボディタイプはまずフィクスドヘッドボディのクーペがリリースされ、追って電動ソフトトップが備わるオープンモデル「ヴォランテ」が追加されました。スタイリングは、ファストバックの流麗なフォルムを採用するなどDB7のイメージを継承しつつ、ディテール面では大幅なモダナイズが図られました。同時に空力特性向上にも注力され、Cd値は0.35を実現しました。
ボディサイズは全長4,710mm×全幅1,875mm×全高1,270mm(クーペ)/1,280mm(ヴォランテ)で、DB7から若干拡大されていました。ホイールベースは2,740mmで、DB7から一気に150mmほど延長されました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンもDB7譲りの5.9L V12DOHC(最高出力456ps/6,000rpm・最大トルク58.1gm/5,000rpm)が搭載されました。
トランスミッションは6速MTと6速トルコン式ATが設定され、前者を選んだ場合のパフォーマンスは最高速度300km/h・0-100km/h加速4.9sでした。サスペンション形式はDB7と同様の4輪ダブルウィッシュボーン式が踏襲され、ブレーキはフロントに355mm、リアに330mmのローターが備わる4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。
DSCやトラクションコントロールを装備
また、安全装備としてEBD&ブレーキアシスト付ABSや車両安定化制御システムの「DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)」、トラクションコントロールなどが標準装備されました。インテリアはフルレザー製で、快適装備としてフロント・パワーシートやリン製カーオーディオシステムなどが標準で備わりました。
その後2008年にエンジンのアウトプットが最高出力477ps/6,000rpm・最大トルク61.2gm/5,000rpmに向上、さらに2010年には最初のマイナーチェンジが実施され、フロントマスクやリアコンビネーションランプなどの意匠が変更されるとともに、電子制御サスペンションの「アダプティブダンピングシステム」が標準化されました。
次いで2012年に2度目のマイナーチェンジされ、エクステリアが小変更されると同時にエンジンにリニューアルが施され、アウトプットが最高出力517ps/6,500rpm・最大トルク63.2gm/5,500rpmに向上しました。続いて2015年には、エンジンの最高出力を548ps/6,750rpmまで高めて搭載する高性能版「GT」がリリースされました。
そして2016年に後継モデル「DB11」が発売されたことにともない、DB9はラインナップが「GTヴォランテ」のみに整理されました。