イギリスの高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティンは、2005年3月のジュネーブ・ショーで同社のボトムレンジを受け持つ新型スポーツカー「V8ヴァンテージ」を発売しました。ヴァンテージを名乗るモデルのリリースは、2000年に先代「ヴァンテージ」が生産終了となって以来5年ぶりのことでした。その後、V12エンジンを搭載する「V12ヴァンテージ」が追加されました。
軽量コンパクトなボディ
ボディタイプは、当初は2ドア・2シーター仕様のクーペのみの設定で、エクステリア・デザインは兄貴分にあたる「DB9」を縮小したような雰囲気を持っていました。また、エアロダイナミクスも追求され、Cd値はDB9を0.01ポイント下回る0.34を実現していました。ボディサイズは全長4,383mm×全幅1,866mm×全高1,255mmで、DB9よりも一回りコンパクトにまとめられていました。
ホイールベースは140mm短い2,600mmに設定され、車両重量は60kg軽い1,630kgでした。駆動方式は同社伝統のFRを踏襲するとともに、フロントミッドシップレイアウトやトランスアクスルレイアウトを採用、49:51の前後重量配分を実現していました。エンジンは当初、オールアルミ製の4.3L V8DOHC(最高出力385ps/7,000rpm・最大トルク41.8kgm/5,000rpm)が搭載されました。
トランスミッションは当初は6速MTのみの設定で、パフォーマンスは最高速度が280km/h、0-100km/h加速タイムが5sでした。サスペンション形式はDB9などと同様の4輪ダブルウィッシュボーン式で、ブレーキはフロントに355mm径、リアに330mm径のディスクローターが備わるブレンボ製4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。
ロードスターや高性能版を追加
そして翌2006年、2ドア・ソフトトップコンバーチブルの「ロードスター」がラインナップに加わりました。次いで2007年には、4.3Lエンジンのアウトプットを最高出力406ps/7,300rpm・最大トルク42.8kgm/5,000rpmまで高めて搭載し、専用の足回りが備わる高性能版「N400」が追加されました。
続いて2009年3月のジュネーブ・ショーにおいて、デザインが一部変更されたボディに6L V12DOHCエンジン(最高出力517ps/6,500rpm・最大トルク58.1kgm/5,750rpm)を搭載し、最高速度305km/h・0-100km/h加速4.2sの性能を持つV12ヴァンテージがベールを脱ぎました。さらに2011年には、V12ヴァンテージをベースに専用デザインのボディを採用した「V12サガート」がリリースされました。
また、同じ年に、4.7L V8DOHCエンジン(最高出力436ps/7,300rpm・最大トルク50kgm/5,000rpm)を搭載し、専用の足回りやクイック化されたステアリングなどが備わる「V8ヴァンテージS」もラインナップに加えられました。次いで2013年、V12エンジンを最高出力573ps/6,750rpm・最大トルク63.2kgm/5,750rpmまでチューンナップして搭載する「V12ヴァンテージS」が追加されました。
さらに2014年には、軽量化が図られたボディに4.7Lエンジンを搭載するレーシーなモデル「V8ヴァンテージN430」がリリースされました。