イギリスの高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティン・ラゴンダは1950年5月、1948年にリリースした「2リットル・スポーツ/DB1」の後継モデルとなる新型2シーター・スポーツカー「DB2」を発売しました。近代的なスタイリングが採用されるとともに、性能面でも飛躍的な向上を果たしたモデルでした。
2種類のボディを用意
車体の構造は、チューブラフレームとアルミニウム製ボディの組み合わせでした。ボディタイプは、「スポーツ・サルーン」と呼ばれるフィクスドヘッドの2ドア・クーペと、「ドロップヘッド・クーペ」と呼ばれる2ドア・ソフトトップ・コンバーチブルが用意されました。スタイリングは、フラッシュサイド・フルワイズのモダンなフォルムに変貌を遂げていました。
ボディ・ディメンションは全長4,128mm×全幅1,651mm×全高1,359mm、ホイールベース2,515mmで、2リットル・スポーツ/DB1から一回り以上縮小されていました。車両重量はドロップヘッド・クーペで1,207kgで、2リットル・スポーツ/DB1よりも200kg近く重くなっていました。サスペンションはフロントが独立懸架式、リアがリジッド・アクスル式で、スプリングは前後ともコイル式が採用されました。
直6DOHCエンジンを採用
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンはそれまでの2L直4OHV(最高出力91ps/4,750rpm)に代わり、ラゴンダ製の2.6L直6DOHC SUツインキャブレター仕様(最高出力106ps/5,000rpm・最大トルク17.2kgm/3,100rpm)が搭載されました。トランスミッションは4速MTが組み合わせられ、最高速度177km/h・0-60mph加速12.4sという当時としては第一級の性能を発揮しました。
ステアリング形式はウォーム&ローラー式で、ブレーキは当時として一般的だった4輪ドラム式が採用されました。また、タイヤは前後共6.00-16サイズが装着されました。そして翌1951年1月に、2.6Lエンジンのアウトプットを最高出力127ps/5,000rpm・最大トルク19.9kgm/2,400rpmまで高めて搭載する高性能版「ヴァンテージ」が追加されました。
リアシートが備わるDB2/4に移行
次いで1953年10月にマイナーチェンジが実施され、「DB2/4」に移行しました。エクステリア面では2分割式だったフロントウィンドウが一体型に変更されるとともに、ヘッドランプの取付位置の変更やバンパーの大型化が図られました。また、室内にミニマムなスペースのリアシートが追加されたほか、スポーツ・サルーンにテールゲートが設けられたことも変更点でした。
同時に、エンジンがDB2ヴァンテージに搭載されていた高出力版に一本化されました。続いて1954年にはエンジンが2.9Lに拡大され、アウトプットが最高出力142ps/5,000rpm・最大トルク24.6kgm/3,000rpmに向上しました。さらに翌1955年の一部改良で「DB2/4マークⅡ」に移行、リアに小さなテールフィンが設けられるとともに、テールランプの意匠が変更されました。
DBマークⅢとなり性能がさらに向上
同時に、エンジンの最高出力が167ps/5,000rpmに向上したほか、ドロップヘッド・クーペをベースにハードトップを装着した2ドア・フィクスドヘッド・クーペが追加されました。次いで1957年3月に2度目のマイナーチェンジが実施され、「DBマークⅢ」に移行しました。フロントグリルやインパネの意匠が変更されたほか、エンジンの出力向上やOD付き4速MTの追加などが実施されました。
もっとも高性能なグレード「スペシャル」は、最高出力198ps/5,500rpm・最大トルク26.8kgm/4,000rpmのスペックを持ち、最高速度192km/h・0-60mph加速8.2sの性能を発揮しました。そして1958年に後継モデル「DB4」が発売されたことにともない、翌1959年に生産終了となりました。