イギリスの高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティン・ラゴンダは、1993年に新型グランツーリスモ「DB7」を発表、翌1994年に販売を開始しました。DBの称号を持つモデルとしては、1970年に生産終了となった「DB6」以来久々のリリースとなりました。当時同社はすでにフォード・モーター傘下に入っており、同じフォード傘下であるジャガーのグランツーリスモ「XJS」のコンポーネンツが流用されました。
クーペとコンバーチブルを用意
ジャガー・XJSと共通のプラットフォームに架装されるボディは、それとは全く異なる流麗なスタイリングを持っていました。ボディの素材は、伝統的にアルミニウムを採用してきた従来のアストンマーティン車とは異なり、XJSと同様スチール製が採用されました。ボディタイプは、2+2シーター仕様の2ドアクーペと2ドアコンバーチブル「ヴォランテ」が用意されました。
ボディ・ディメンションは全長4,631mm×全幅1,820mm×全高1,238mm(クーペ)/1,270mm(ヴォランテ)、ホイールベース2,591mmで、かつて生産されていた「V8」に類似したディメンションを持っていました。サスペンション形式は、XJSと共通の4輪ダブルウィッシュボーン式が採用されました。ブレーキは当初、フロントのみベンチレーテッド型の4輪ディスク式でした。
駆動方式はコンベンショナルなFRで、エンジンは当初3.2L直6DOHCスーパーチャージド(最高出力340ps/5,500rpm・最大トルク49.8kgm/3,000rpm)が搭載されました。組み合わせられるトランスミッションは5速MTまたは4速トルコン式ATで、前者は最高速度250km/hの性能でした。インテリアは、レザーシート&運転席パワーシートやウッドパネルが備わるラグジュアリーな仕様となっていました。
M/Cと同時にエンジンを置換
また、安全装備面ではSRSデュアルエアバッグシステムやABSが全車に標準装備されました。その後1999年にマイナーチェンジが実施され、車名が「DB7ヴァンテージ」に変更されるとともに、エンジンが5.9L V12DOHC NA(最高出力420ps/6,000rpm・最大トルク55.3kgm/5,000rpm)に置換されました。
同時に、トランスミションがMTは6速に、ATは5速にそれぞれ多段化されました。MT仕様のパフォーマンスは、最高速度298km/h・0-100km/h加速5sを誇りました。また、パフォーマンス向上に対応する為、リア・ブレーキがベンチレーテッド・ディスク式にアップデートされたほか、トラクションコントロールが装備されました。そして2003年に後継モデル「DB9」に後を譲り、生産終了となりました。
日本市場においては、1995年8月にクーペとヴォランテが初上陸を果たしました。その後1999年10月に、ヴァンテージ/ヴァンテージ・ヴォランテへの切り替えが図られました。