1965年秋にアウディNSUアウトウニオンAGは、「DKW・F102」の後継車種としてF103の型式を持つ小型セダン「アウディ・72」をリリースしました。更に翌1966年には、より強力なエンジンを搭載する上級モデル「アウディ・スーパー90」が追加されたものの、販売は振るわず1971年に生産を終了、暫くの間90の車名はラインナップから姿を消す事となりました。
アウディ200譲りの意匠を採用
そして1984年、1978年に2代目に移行した小型車「アウディ・80」にフェイスリフトが実施されると同時に、それをベースとする上級車種「アウディ・90」が発売されました。13年ぶりに90の名が付けられたこのモデルは、時の経過に相応しく内外装デザインや基本メカニズムが進化を遂げていました。ボディタイプは80と異なり2ドアセダンの設定はなく、4ドアセダンのみが用意されました。
スタイリングは、ジョルジェット・ジウジアーロの手によるプレーンなフォルムを持つ80をベースとしながら、フォグランプ一体型ヘッドランプや左右一体型のリアコンビネーションランプなど、フラッグシップセダン「アウディ・200」に類似した意匠が与えられました。又、インテリアもより上質に仕上げられ、差別化が図られました。
ボディサイズは全長4,383mm×全幅1,682mm×全高1,365mmで80から変更はなく、スーパー90との比較においてはよりワイド&ローなディメンションになっていました。又、同じく80と共通の2,540mmのホイールベースは、スーパー90に対しては50mm長くなりました。サスペンション形式は、80と同一のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲されました。
直5エンジンを搭載
駆動方式は80同様FFがベースとなる他、フルタイム4WD方式の「80クワトロ」が編入され「90クワトロ」としてラインナップされました。エンジン・ラインナップは、ガソリン1.3L/1.6L/2L直4が用意された80と明確な差別化が図られ、より大排気量・多気筒の2L直5SOHC(最高出力115ps/最大トルク16.8kgm)と2.2L直5SOHC(最高出力136ps/最大トルク19kgm)のガソリン2種類が用意されました。
又、2.2Lエンジンはキャタライザー(触媒)付を選択する事も可能でした。こちらは最高出力がFF用で115ps、クワトロ用で120PSとなっていました。その他、オプションとして80にも設定される1.6L直4SOHCディーゼルターボ(最高出力70ps)も用意されました。日本市場には、ヤナセの手により2Lエンジン搭載のFF車と、2.2Lエンジン搭載のクワトロが導入されました。
そしてベースモデルである80のフルモデルチェンジから遅れる事1年の1987年、フルモデルチェンジを受け3代目B3系に移行しました。