1994年に「アウディ・V8」に代わるアウディAGのフラッグシップモデルとしてデビューした「アウディ・A8」は、2002年11月に8年ぶりのフルモデルチェンジが実施され、2代目D3系に移行しました。直噴エンジンや電子制御式エアサスペンション「アダプティブ・エアサスペンション」をはじめ、様々な新機軸が取り入れられた正常進化型モデルでした。
空力特性が一段と向上
スペースフレーム構造が踏襲される4ドアボディは、同じくショートホイールベースとロングホイールベースの2つの仕様が設定されました。エクステリア面では、先代よりシャープな造形が備わると共に、Cd値が0.2ポイント低い0.27に向上しました。初期型のボディサイズは、全長5,051mm(ショート)/5,181mm(ロング)×全幅1,894mm×全高1,444mm(ショート)/1,455mm(ロング)でした。
先代から幾分拡大されたものの、実質的には同等のディメンションが維持されました。又、ホイールベースは60mm程延長され2,944mm(ショート)/3,074mm(ロング)となりました。サスペンション形式はフロント:4リンク式/リア:トラペゾイダル(ダブルウィッシュボーン)式が踏襲され、駆動方式も引き続きフルタイム4WD「クワトロ・システム」が採用されました。
エンジンは、3L V6(最高出力220ps)、3.7L V8(最高出力280ps)、4.2L V8(最高出力340ps)のガソリンNAと、3L V6(最高出力233ps/250ps)及び4L V6(最高出力225ps)のディーゼルターボが用意されました。トランスミッションは、6速に多段化されたトルコン式ATと「マルチトロニック」と呼ばれるCVTが設定され、先代に設定のあった5速MTは廃止されました。
各種装備が充実
装備面では、ディスチャージヘッドランプや照射範囲を自動的に調整する「AFS」、DVDカーナビゲーションシステム、インフォテインメントシステムの「MMI」など、同社初の装備が目白押しでした。又、安全装備面でも、2ステージSRSデュアルエアバッグシステムやサイドガードSRSエアバッグシステムなど、同社最新の技術が導入されました。
そして2005年、3L V6エンジンが3.2L V6直噴エンジン(最高出力256ps)に置換されると共に、4.2L V6エンジンが直噴化され最高出力が350psに向上しました。更に、初代にも設定のあった6L W12気筒エンジン(最高出力450ps)が追加されました。次いで2006年には、5.2L V10直噴エンジン(最高出力450ps)を搭載する高性能な派生モデル「アウディ・S8」が発売されました。
続いて2007年にフェイスリフトが実施されると共に、アダプティブクルーズコントロールや各種安全運転支援システムが採用されました。そして2009年にフルモデルチェンジが実施され、現行D4系に移行しました。日本市場における2代目A8は、まず2003年10月にショートボディに4.2Lエンジン+6速ATを搭載する「4.2クワトロ」が導入されました。
次いで2004年9月に、3.7Lエンジン搭載の「3.7クワトロ」とロングボディ版の「L4.2クワトロ」が追加されました。続いて翌2005年3月には、6Lエンジン+6速ATを搭載するフェイスリフト版の「6.0クワトロ」「L6.0クワトロ」が上陸を果たし、追って6月に4.2クワトロ/L4.2クワトロがフェイスリフト版に切り替えられました。
更に同年9月、廃止された3.7クワトロに代わるモデルとして3.2L直噴エンジン搭載の「3.2FSIクワトロ」の導入が開始され、翌2006年8月には4.2クワトロのエンジンが直噴仕様に置換され「4.2FSIクワトロ」となりました。そして2010年12月に現行型に切り替えられました。