アウディの2シータースポーツカー「R8」は、2003年のフランクフルトモーターショーに出展されたコンセプトカー「アウディ・ルマン・クワトロ」をベースにした同社初の量販ミッドシップスポーツカーとして2006年に欧州でデビュー、翌2007年7月から日本での販売が開始されました。高性能とエレガンスを両立させた点が、独自の個性となっています。
スタイリングは、シングルフレームグリルの採用によりアウディとしてのアイデンティティーを確保しつつ、ドア後部に設けられたエアブレードなどによりMR方式である事が強調されたデザインとなっています。ボディのバリエーションは、まずフィクスドヘッドのクーペが登場し、2010年6月にソフトトップカブリオレの「スパイダー」が追加されました。
オールアルミ製の軽量ボディ
ボディはオールアルミ製で「アウディ・スペースフレーム」構造を採用、軽量化が図られています。ボディサイズはクーペが全長4,435mm~4,440mm×全幅1,905~1,930mm×全高1,250mm、スパイダーがそれぞれ4,440~4,445mm×1,905mm×1,245mmとなります。ホイールベースは共に2,650mで、車両重量はクーペが1,580~1,710kg、スパイダーが1,690~1,810kgとなっています。
サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式で、駆動方式はビスカルカップリング式のフルタイム4WD「クワトロシステム」を採用します。発売当初クーペに搭載されたパワートレイン及びそのグレードは、4.2L V8エンジン(最高出力420ps/最大トルク43.8kgm)と6速シングルクラッチ式AMT「Rトロニック」を搭載し、0-100km加速4.6sの性能を持つ「4.2FSIクワトロ」のみでした。
そして2009年2月に6速MT仕様が追加された後、同年4月に5.2L V10エンジン(最高出力525ps/最大トルク54kgm)と6速Rトロニックを搭載し、0-100km加速3.9sの性能を持つ「5.2FSIクワトロ」が追加されました。一方スパイダーは、発売当初から4.2Lエンジン搭載車の設定はなく、5.2Lエンジン搭載の「5.2FSIクワトロ」のみのラインナップで登場しました。
高性能な限定モデルも登場
次いで2010年10月の一部改良で、装備の充実を図ると共に「4.2FSIクワトロ」の最高出力が430psにアップしました。そして2011年7月、カーボンパーツなどの多用により車両重量を大幅に軽量化すると共に、5.2Lエンジンを最高出力560ps/最大トルク55.1kgmまでチューンナップして搭載するクーペの限定モデル「GT」が、更に2012年3月に同等の内容を持つ「GTスパイダー」が発売されました。
次いで2013年3月にマイナーチェンジを実施し、内外装の一部を変更すると共に、AT車のトランスミッションが7速Sトロニック(DCT)に変更され、0-100km/h加速タイムが各グレード共0.3s短縮されました。同時に、「クーペ5.2FSIクワトロ」に6速MT仕様が設定されました。次いで2014年5月に、5.2Lエンジンを最高出力570ps/最大トルク55.1kgmまでチューンナップして搭載する限定クーペモデル「LMX」が発売されました。