ルノーは2001年、1992年から1998年に掛けて生産した初代「サフラン」の実質的な後継車種となるフラッグシップモデル「ヴェルサティス」を発売しました。Eセグメントの大型乗用車には珍しい5ドアハッチバックのボディタイプを受け継ぐ一方、4WD仕様や高性能モデルの設定はなくなり、フォーマル志向に特化したモデルとなりました。
2ボックス型ボディを採用
プラットフォームは一クラス下の「ラグナ」と共通で、スタイリングは3ボックス型のサフランと異なり、ラウンドしたリアウィンドウを持つ2ボックス型が採用されました。ボディサイズはサフランより一回り大きい全長4,860mm×全幅1,860mm×全高1,577mmで、特に全高が160mm程高められた事で居住性が向上しました。又、ホイールベースも延長され2,840mmとなりました。
ドライブトレインは横置きFF方式で、エンジンは自社製の2L直4DOHCターボ(最高出力163hp/最大トルク25.5kgm)及び日産製3.5L V6DOHC NA(最高出力235hp/最大トルク33.7kgm)のガソリン2種類と、自社製の2.2L直4SOHC (最高出力148hp/最大トルク32.6kgm)及びいすゞ製3L V6DOHC(最高出力178hp/最大トルク35.7kgm)のディーゼルターボ2種類が用意されました。
トランスミッションは6速MTと、シーケンシャルモード付の5速トルコン式ATが設定されました。最高速度はガソリン2L・MT仕様が210km/h、同3.5L・AT仕様が235km/h、ディーゼル2.2L・MT仕様が200km/h、同3L・AT仕様が210km/hでした。サスペンションは、フロント:ストラット式/リア:マルチリンク式の形式こそラグナと共通となるものの、リアには専用設計の物が採用されました。
豪華なインテリア
一方室内は、コノリーレザー製のシートやウッドを散りばめたインパネ及びドア内張りが備わる他、3点式シートベルト内蔵のフロントシートや6:4分割可倒式のリアシートが採用されました。装備面では、SRS8エアバッグシステムやESP(横滑り防止装置)、タイヤプレッシャーモニターなどの安全装備の他、ナビゲーション用スクリーンが標準装備されました。
その他、リアシート用のDVDプレーヤー及び液晶スクリーンも用意されました。そして2005年4月にフェイスリフトが実施され、フロント廻りなどの意匠が変更されました。同時にガソリンエンジンのアウトプット向上が図られ、、2L直4ターボは最高出力168hp/最大トルク27.5kgmに、3.5L V6は最高出力237hp/最大トルク33.7kgmになりました。
そして2009年8月をもって生産を終了、翌2010年6月に事実上の後継モデルとなる「ラティテュード」がリリースされました。ヴェルサティスは正規代理店ルノージャポンを通じての正規輸入は行われず、並行輸入業者などによりごく少数が輸入されたに留まっています。