ルノーは1975年11月、前年に発表したフラッグシップモデル「30」の廉価版となる「20」(ヴァン)を発売しました。30と基本的に共通のプラットフォームやボディに、それよりも排気量の小さいエンジンを搭載したモデルで、1965年にデビューした「16」の後継車種として位置付けられました。
ヘッドランプの形状を変更
ボディタイプは30同様6ライトウィンドウ採用の5ドアハッチバックのみの設定で、エクステリア面ではヘッドランプが丸型4灯式から矩形2灯式に変更されると共に、ボディ側面及びサイドウィンドウのモールが省略された事が相違点でした。ボディサイズは全長4,520mm×全幅1,726mm×全高1,435mmで、実質的に30と同等でした。
又、2,671mmのホイールベースも共通となる一方、車両重量は150kg程軽い1,175kgとなっていました。サスペンション形式は、フロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式・リア:トレーリングリンク付マクファーソンストラット/コイル式による4輪独立懸架が踏襲され、ステアリングはラック&ピニオン式の形式を受け継ぎながらパワーアシストが外されました。
仕様面はルノー30からダウングレード
駆動方式はFFを踏襲し、エンジンは30が当初2.7L V6SOHCシングルキャブレター仕様(最高出力131hp/最大トルク20.5kgm)を搭載したのに対し、それよりも遥かに排気量の小さい1.6L直4OHVシングルキャブレター仕様(最高出力96hp/最大トルク13.6kgm)が採用されました。トランスミッションは30同様、4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。
それぞれ165km/h、157km/hとなる最高速度は、30より20km/h以上低い数値となっていました。その他、ブレーキは30の4輪ディスク式に対しリアがドラム式にダウングレードされ、タイヤは175HR14に代え165SR13が装着されました。グレード体系は、当初下から「L」「TL」「GTL」の3タイプがラインナップされました。
より高出力なエンジンを追加
その後1977年に、プジョー/ルノー/ボルボ3社共同開発による2L直4SOHCシングルキャブレター仕様エンジン(最高出力110hp/最大トルク17kgm)を搭載し、最高速度170km/hの性能を持つ「TS」が追加されました。次いで1979年には5速MT仕様車と、ルノー単独開発による2.1L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力64hp/最大トルク12.6kgm)搭載車が追加されました。
続いて翌1980年、2.2L直4SOHCエンジン(最高出力110hp/最大トルク18kgm)を搭載する「TX」が追加されました。車両重量は1,290kgまで増加したものの、5速MTを介しての最高速度は177km/hに達しました。更にこの年、全車のフロント・ディスクブレーキがベンチレーテッド型にアップグレードされました。
そして1983年末に後継モデル「25」がデビューした事に伴い、翌1984年に30と共に生産終了となりました。