ルノーは1961年、デビュー以来15年が経過した「4CV」に代わる新型大衆車「4(キャトル)」及び「3(トロワ)」を発売しました。駆動方式が4CVのRRからルノー初のFFに変更されるなど、最大のライバル「シトロエン・2CV」を意識した設計が行われました。5ドアハッチバックボディ採用による実用性の高さが評価され、国民車的な人気を博すロングセラーカーとなりました。
4CVからボディを近代化
スタリングは、実用一点張りながらもフラッシュサイド・フルワイズ・ボディを採用、2CVや4CVと比較すると大幅に近代化されました。ボディサイズは全長3,610mm×全幅1,490mm×全高1,460mmで、4CVに対し若干広く低いディメンションとなりました。又、大幅に延長されたホイールベースは、後述するサスペンション形式の関係で右が2,440mm、左が2,400mmと左右で異なっていました。
フロントに搭載されるエンジンは、4には4CV譲りの水冷直4OHV747cc(最高出力26.5hp)が、3には同602cc(最高出力21hp)が搭載され、トランスミッションは共にインパネシフト式の3速MTが組み合わせられました。サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン式を踏襲しつつ、スプリングがコイルからトーションバーに変更されました。
一方リアは、スイングアクスル/コイル式からトレーリングアーム/トーションバー式に一新されました。その他、ラック&ピニオン式のステアリング形式や、4輪油圧ドラム式のブレーキ形式は4CVと同一でした。グレード体系は、4には「4L」と名付けられた上級グレードが存在し、3/4が4ライトウィンドウであったのに対し、こちらは6ライトウィンドウが採用されていました。
排気量を拡大
そして翌1962年、最上級グレード「シュペール」が追加されると同時に、3は廃止されました。次いで1963年に、シュペールと輸出仕様のエンジンが「ドーフィン」と共通の845cc直4OHV(最高出力28hp)に置換されたものの、翌1964年にはシュペールは廃止され、代わって747ccエンジン搭載の「パリジェンヌ」及び「エクスポート」が設定されました。
続いて1965年、ベースモデルの4が廃止された一方で、ルクス以外のグレードに845ccエンジン搭載車が追加されました。次いで1968年、フェイスリフトと共にトランスミッションが4速化され、パリジェンヌはカタログ落ちしました。更にこの年、専用デザインのFRP製オープンボディを持つ派生モデル「プレン・エール」がリリースされました。
続いて1972年、747ccエンジンの排気量が782ccに拡大され、最高出力が27hpとなりました。次いで1975年に2度目のフェイスリフトが実施され、翌1976年にはグレード体系が「L」「TL」「サファリ」の3タイプに変更されました。更に1978年、1.1L直4OHVエンジン(最高出力34hp)搭載の最上級グレード「GTL」が追加され、サファリはカタログ落ちしました。
そして1992年、最新の安全基準や環境性能を満たす事が困難となった為生産を終了、30年余りに及ぶ歴史に幕を下ろしました。