ランボルギーニは1966年に発売したスポーツカー「ミウラ」の後継モデルとして、1971年のジュネーブショーで「カウンタック LP500」を発表しました。その前衛的なスタイリングと大排気量エンジンによる高性能は世界に衝撃を与えました。しかし斬新過ぎたゆえに解決すべき問題も多く、カウンタックはすんなりと市販化に至りませんでした。
ミウラからフレーム構造を一新
カウンタック LP500の車体構造は、センターモノコックにサブフレームを組み合わせたミウラに対し、鋼管を用いたマルチチューブラフレーム構造に変更されました。駆動方式はミウラ同様のMR方式が踏襲された一方で、横置き式のミウラではテールヘビーに起因するトリッキーな操縦安定性や複雑なリンケージによるシフトフィールの悪さが問題となった為、縦置き式に変更されました。
ボディのデザインを手掛けたのはミウラ同様ガンディーニで、ウェッジシェイプの斬新なフォルムと共に跳ね上げ式のドアや4灯式リトラクタブルヘッドランプを採用し、従来のランボルギーニ車とは全く異なる近未来的な雰囲気を醸していました。ボディサイズは全長4,140mm×全幅1,890mm×全高1,029mmで、従来の常識を覆す縦横のアスペクト比と極端に背の低いディメンションが特徴でした。
オーバーヒートの解決に苦戦
ホイールベースはミウラよりも50mm短い2,450mmとなり、車両重量はミウラの最終型P400SVより100kg以上軽い1,130kgでした。サスペンションはミウラ同様4輪ダブルウィッシュボーン式で、ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスク式が採用されました。
エンジンは新開発された5L V12DOHC24バルブ仕様で、最高出力440hp/7,400rpm・最大トルク51kgm/5,000rpmのアウトプットを発生するものでした。
5速MTを介しての最高速度は、それまでのどの市販モデルよりも速い300km/hと公表されました。しかし、テスト走行において冷却性能の不足によるオーバーヒートが多発し、市販化に向けての大きな課題となりました。
LP500の時には、後の市販カウンタックでの特徴であるドア後端からのエアインテークがなく、ボディ後端上部のエアインテークもシンプルな造形となっています。
一方インテリアは、ドライバー正面にインジケーター類が、その両端にスピードメーターとタコメーターが配置される斬新なデザインのインパネと、一本スポーク式のステアリングが特徴でした。
LP500は、エンジンの冷却不足などの問題は解決に至らず、LP500の市販はありませんでした。カウンタックが市販に至ったのは、LP500の発表から3年後の1974年、数々の改良と共に「ミウラ」と同形式の4L V12エンジンを搭載し、ジュネーブショーでベールを脱いだ「LP400」でした。