ルノーは1986年3月、1978年にリリースした「18」の後を継ぐミディアムモデル「21(ヴァンティアン)」を発売しました。ボディサイズ拡大とホイールベース延長により18で不評だった居住性の悪さを改善すると共に、Cd値0.29~0.32の優れた空力特性を実現した事が特徴でした。又、後にターボエンジンを搭載する高性能グレードも追加されました。
エンジンにより異なるレイアウトを採用
当初4ドアセダンのみが用意されたボディはジウジアーロによるデザインで、6ライトウィンドウの採用と直線基調のシャープなフォルムが特徴でした。ボディサイズは全長4,465mm×全幅1,725mm×全高1,400mmで、全高を除き18から一回り大きくなりました。又、ホイールベースは2,600~2,660mmで、18の2,440mmから大幅に延長されました。
エンジンは当初、チューニングの異なる2種類の1.7L直4SOHCシングルキャブレター仕様(最高出力75hp/最大トルク13.2kgm・最高出力89hp/最大トルク14.1kgm)及び2L直4SOHC電子燃料噴射仕様(最高出力118hp/最大トルク17.1kgm)のガソリン3種類と、2.1L直4SOHC NA(最高出力66hp/最大トルク13kgm)及びターボ(最高出力87hp/最大トルク18.5kgm)のディーゼル2種類が用意されました。
駆動方式はFFを踏襲、エンジンのレイアウトはガソリン1.7Lが横置きで、それ以外は18同様の縦置きとなっていました。組み合わせられるトランスミッションには、5速MTと3速及び4速のトルコン式ATが設定されました。サスペンション形式は18から一新され、フロント:ストラット式・リア:トレーリングアーム/トーションバー式による4輪独立懸架が採用されました。
ステーションワゴン「ネバダ」を追加
又、ラック&ピニオン式を踏襲するステアリングはパワーアシスト付となり、フロントに装備されるディスクブレーキはベンチレーテッド型にアップグレードされました。そして1986年秋に、5ドアステーションワゴンの「ネバダ」が追加されました。セダンからホイールベースが150mm延長されており、2列シート5人乗り仕様の他3列シート7人乗り仕様も用意されました。
次いで1987年、エアロパーツが備わるボディにガソリン2L直4SOHC電子燃料噴射ターボエンジン(最高出力173hp/最大トルク27.5kgm)+5速MTを搭載し、リアにもディスクブレーキを装備した高性能モデル「ターボ」が追加されました。動力性能は、最高速度227km/h・0-60mph加速8.1sというクラストップレベルのものでした。
続いて1988年には、ガソリン2.2L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力108hp/最大トルク17.7kgm)搭載車が追加されると共に、ネバダにパートタイム4WD仕様車が設定されました。次いで1989年、フェイスリフトの実施と同時に2ボックス型の5ドアハッチバックがラインナップに加わりました。
更に1990年にはフルタイム4WD仕様車「クワドラ」と、最上級グレード「バカラ」が追加されました。そして1993年、後継モデル「ラグナ」のデビューに伴いラインナップが縮小された後、翌1994年に生産終了となりました。