ベントレー・モーターズは1992年、基本設計を1980年までさかのぼり旧態化が否めなかった「ミュルザンヌS」と「エイト」を統合した新型高級車「ブルックランズ」を発売しました。基本メカニズムや内外装デザインは従来から大きな変更はなく、当初はターボエンジンの設定がないなど大人しい仕様でした。
ディメンションも従来と同等
ボディタイプはそれまでと同様4ドアセダンのみのラインナップで、エクステリア・デザインは「ミュルザンヌ・ターボR」に準じたディテールを備えていました。ボディ・ディメンションは全長5,268mm×全幅1,887mm×全高1,486mm、ホイールベース3,061mmで、実質的にそれまでと同等でした。駆動方式はコンベンショナルなFRが踏襲され、エンジンも6.8L V8OHV2バルブ・ボッシュ・モトロニック燃料噴射仕様がキャリオーバーされました。
アウトプットは最高出力224ps/4,200rpm・最大トルク45.9kgm/1,500rpmで、それまでと同様の4速トルコン式ATを介してのパフォーマンスは最高速度206km/h・0-60mph加速9.6sでした。サスペンション形式は、フロント:ウィッシュボーン式/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲され、ブレーキはフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。
また、タイヤは前後とも235/70VR15サイズが装着されました。一方インテリアは、デザインが若干変更されたものの、ウォールナットのウッドトリムやコノリー社製最高級レザーなどの上等な仕様が継承されました。装備面では、運転席パワーシートやクルーズコントロール、CDチェンジャー付きオーディオシステムなどが採用されました。
ターボエンジンに置換
その後1994年に、旧型のまま生産が続けられていた「ミュルザンヌ・ターボR」に、100台限定の特別仕様車「ターボS」が設定されました。次いで1996年、ブルックランズのエンジンがターボチャージャー仕様に置換されました。同じ6.8Lの排気量ながら、最高出力は4割近く高い304psまで向上しました。それにともない、パフォーマンスも最高速度225km/h・0-60mph加速7.9sへと向上を果たしました。
続いて1998年には、ブルックランズとミュルザンヌ・ターボRを統合したモデルとして、サスペンションを強化した「ブルックランズR」がリリースされました。しかし、同年に後継モデル「アルナージ」が発売されたことにともない、その年に生産終了となりました。ブルックランズは、日本にも正規輸入が行われました。
初上陸は1992年12月で、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様が用意されました。その後1996年9月にターボモデルに切り替えられると同時に、右ハンドル仕様が廃止されました。追って翌1997年9月には、Rの導入が開始されました。