ベントレー・モーターズは2009年8月、同社の新たなフラッグシップサルーンとなる「ミュルザンヌ」を発表、日本においては2010年3月にデビューを飾りました。設計はイギリス国内にある本社で行われ、製造はハンドメイドで行われました。堂々たるサイズを持つボディに強力なエンジンを搭載し、高いパフォーマンスを発揮するほか、豪華な装備が備わりました。
エクステリアは往年のモデルがモチーフ
新開発されたシャシーに架装されるボディは4ドアセダンのみの設定で、エクステリアは1957年にリリースされた「ベントレー・SIコンチネンタル」をモチーフとした、丸型ヘッドランプと大型グリルを配したフロントマスクが特徴でした。ボディ・ディメンションは全長5,575mm×全幅1,926mm×全高1,521mm、ホイールベース3,266mmという巨大なもので、車両重量も2,585kgに達しました。
駆動方式はFRのみの設定で、エンジンは6.8L V8OHVツインターボ(最高出力512ps/4,200rpm・最大トルク104kgm/1,800rpm)が搭載されました。トランスミッションはパドルシフト付8速トルコン式ATが組み合わせられ、最高速度296km/h・0-100km/h加速5.3sという優れた動力性能を発揮しました。
また、同社初の可変シリンダーシステムを採用し、燃費向上が図られたことも特徴でした。サスペンション形式はフロントにダブルウィッシュボーン式、リアにマルチリンク式を採用、同時に連続可変ダンピングコントロール機構付きのエアスプリングが装備されました。ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式で、タイヤは265/45ZR20サイズが採用されました。
走行性能に係る装備としては、「ベントレー」「スポーツ」「コンフォート」「カスタムモード」の4つのモード切替ができる「ダイナミックドライバーコントロールシステム」が採用されました。一方で室内に目を移すと、インパネに8インチのマルチメディアスクリーンが装備されるほか、HDDナビゲーションシステムや6連装CDチェジャー+DSP付きのオーディオシステムなどが標準装備されました。
高性能版やストレッチ版を追加
その後2014年に、6.8Lツインターボエンジンのアウトプットを最高出力537ps/4,200rpm・最大トルク112.2kgm/1,750rpmまで高めて搭載し、265/40ZR21タイヤを履く高性能版「ミュルザンヌ・スピード」が追加されました。そのパフォーマンスは、最高速度が306km/hに向上するとともに、0-100km/h加速タイムも4.9sに短縮されました。
次いで2016年、ホイールベースと全長を250mm延長した「ミュルザンヌ・エクステンデッド・ホイールベース」が追加されました。エンジンのスペックはミュルザンヌ標準版と共通で、車両重量が145kg増加したことにともない、0-100km/h加速タイムはわずかに遅い5.5sとなっていました。
ミュルザンヌの日本へのデリバリー開始は2011年からで、右ハンドル仕様と左ハンドル仕様が用意されました。その後、2015年1月にミュルザンヌ・スピードが追加されました。