BMWは1951年4月のフランクフルト・ショーにおいて、同社として戦後初の量販4輪乗用車となる「501」を発表、翌1952年11月に市販を開始しました。1939年に発売された高級車「335」以来13年ぶりのニューモデルで、新設計のボディやサスペンションなどが採用されました。追って1954年に、上級モデルの「502」がリリースされました。
セダンとクーペ/カブリオレで異なるデザインを採用
ボディタイプは、社内デザインによる4ドアセダンのほか、コーチビルダーのバウア社やアウテンリート社の手による2ドアクーペおよび2ドア/4ドアカブリオレが用意されました。セダンのスタイリングは、丸みを帯びたフォルムや張り出した前後のフェンダーラインなど、戦前に設計されたセダン「326」の流れを汲むクラシカルなものでした。
一方クーペやカブリオレは、それとは全く異なるフラッシュサイド・フルワイズのモダンなスタイリングを備えていました。セダンのボディサイズは全長4,730mm×全幅1,780mm×全高1,530mmで、326よりも一回り拡大された一方、ホイールベースはそれよりも若干短い2,835mmとなっていました。また、車両重量は200kg以上重い1,340kgでした。
サスペンション形式は一新され、フロントにダブルウィッシュボーン/横置トーションバー式、リアに3リンク/縦置トーションバー式が採用されました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは326譲りの水冷2L直6OHVシングルキャブレター仕様が搭載されました。アウトプットは326時代よりも高められ、最高出力65hp/最大トルク13.2kgmとなっていました。
トランスミッションは326時代から1段多段化された4速MTが組み合わせられ、最高速度135km/hの性能を発揮しました。ステアリング形式はラック&ピニオン式が受け継がれ、ブレーキも同様に4輪ドラム式が採用されました。その後1954年3月に、エンジンの最高出力を72hpに向上させた「501A/B」に切り替えられました。
V8エンジン搭載車を追加
追って同年に開催されたフランクフルト・ショーにおいて、メッキ加飾やフロント・フォグランプが追加された4ドアボディに、水冷2.6L V8OHVエンジン(最高出力100hp/最大トルク18.4kgm)を搭載する502が発表されました。車両重量は1,440kgまで増加したものの、大幅に高められたアウトプットの効果で最高速度は160km/hに達しました。
追って翌1955年4月に501が仕様変更を受け、2.1L直6OHVエンジン(最高出力72hp)搭載の「501/3」および2.6L V8OHVエンジン(最高出力95hp)搭載の「501-V8」となりました。さらに同年11月には502が仕様変更を受け、エンジンの排気量を3.2L(最高出力129hp)に拡大した「3.2」に移行しました。
次いで1961年にマイナーチェンジが実施され、内外装の小変更と同時に車名が「2600/2600L/3200L/3200S」に変更されました。そして1964年をもって生産終了となりました。