BMWは2015年10月、前年にデビューした小型2ドアクーペ「2シリーズクーペ」をベースとしたハイパフォーマンスバージョン「M2クーペ」を発表、翌2016年に発売しました。Mシリーズの末っ子的な存在となるものの、性能の追求に妥協はなく、前身にあたる「1シリーズMクーペ」よりもさらに優れた走行性能を持つモデルに仕上げられていました。
エクステリアを差別化
エクステリア・デザインは、基本的なフォルムは2シリーズクーペ譲りであったものの、前後に装着されたスポイラーや大きく張り出した前後のフェンダー、19インチ鋳造アロイホイールの採用などにより差別化が図られました。その一方で空力特性は若干悪化し、Cd値は2シリーズクーペの0.29~0.33に対し0.35となっていました。
ボディ・ディメンションは全長4,468mm×全幅1,854mm×全高1,410mm、ホイールベース2,693mmで、2シリーズクーペから全長が14mm、全幅が80mm拡大されました。また、トレッドもフロントが70mm、リアが65mm拡大されていました。サスペンションは、形式こそフロント:ストラット式/リア:5リンク式が踏襲されたものの、軽量化を図った専用品が採用されました。
駆動方式は、一部モデルにフルタイム4WDが設定される2シリーズクーペと異なり、FRのみの設定でした。搭載されるエンジンは3L直6ツインパワーターボで、最高出力370ps/6,500rpm・最大トルク47.4kgm/1,400-5,560rpmのアウトプットを発生、さらにオーバーブースト時には最大トルクが51kgmまで高められました。
同じエンジンを搭載する2シリーズクーペの最強グレード「M240iクーペ」と比較すると、最高出力は30ps上回っていました。トランスミッションは、2シリーズクーペに用意される6速MTと8速トルコン式ATではなく、7速デュアルクラッチ式の「M DCT Drivelogic」が組み合わせられました。
4秒台前半の0-100キロ加速タイムを実現
パフォーマンスは、最高速度こそリミッター作動によりM240iクーペと同じ250km/hに留まるものの、0-100km/h加速タイムは0.3s短い4.3sとなっていました。また、BMWのこだわりである50:50の前後重量配分が継承されたほか、コーナーリング性能を高める「アクティブMディフェレンシャル」も装備されました。
ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式となるほか、高い制動力を持つ「Mコンパウンドブレーキシステム」が採用されました。ホイール&タイヤは、フロントに9J×19インチホイール+245/35ZR19タイヤ、リアに10J×19インチホイール+265/35ZR19タイヤの組み合わせが採用されました。一方安全装備面では、衝突回避・被害軽減ブレーキやレーンディパーチャーウォーニングなどが標準装備されました。
その後、2016年後半に6速MT仕様が追加されました。最高速度に変更はなく、0-100km/h加速タイムは7速DCT仕様よりも0.2s遅い4.5sとなっていました。M2クーペDCT仕様の日本市場への初上陸は2016年1月で、同年10月にMT仕様が追加されました。