フォード・モーター(ヨーロッパ・フォード)は1982年9月、「コーティナ」および「タウヌス」の後継モデルとなる小型乗用車「シエラ」を発売しました。従来同様のコンベンショナルなFRレイアウトが踏襲された一方、ボディはそれまでのボクシーなフォルムから、エアロダイナミクスを追求した流麗なフォルムに変貌しました。
ハッチバックがメインに
ボディタイプは、コーティナ/タウヌス時代の2ドアおよび4ドアセダンに代わり、3ドアおよび5ドアハッチバックが用意され、引き続き設定された5ドアステーションワゴンと合わせ3タイプのラインナップとなりました。スタイリングは、スラントノーズとグリルレスのフロントマスクが特徴で、さらにハッチバックモデルには3ドアを含め6ライトウィンドウが採用されました。
空力特性は当時の実用車としては優秀で、ハッチバックの場合でCd値0.34を実現していました。ボディサイズは全長4,390mm(ハッチバック)/4,490mm(ステーションワゴン)×全幅1,700mm(ハッチバック)/1,710mm(ステーションワゴン)×全高1,410mm(ハッチバック)/1,440mm(ステーションワゴン)で、コーティナ/タウヌスから全高が高められました。
4輪独立懸架を採用
ホイールベースは2,608mm(ハッチバック)/2,610mm(ステーションワゴン)で、コーティナ/タウヌスから若干延長されました。サスペンション形式は、前後ともストラット式による4輪独立懸架が採用されました。ステアリング形式はコーティナ/タウヌス同様のラック&ピニオン式で、ブレーキは一般的なフロント:ディスク式/リア:ドラム式が採用されました。
エンジンは当初、1.3L直4SOHC(最高出力61ps/最大トルク10kgm)、1.6L直4SOHC(最高出力76ps/最大トルク12.1kgm)、2L直4SOHC(最高出力106ps/最大トルク16kgm)、2.3L V6OHV(最高出力116ps/最大トルク17.9kgm)のガソリン4種類と、プジョー製の2.3L直4OHVディーゼル(最高出力68ps/最大トルク14.2kgm)が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは4速MTが標準となる他、1.3L以外に5速MTと3速トルコン式ATがオプション設定されました。その後1984年に、ガソリン2.8L V6OHV電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力162ps/最大トルク22kgm)を搭載し、最高速度209km/h・0-60mph加速7.8sの性能を持つスポーティグレード「XR4i」が追加されました。
4WD車やセダンを追加
次いで1985年には、ガソリン1.8L直4SOHCエンジン(最高出力90ps/最大トルク14.3kgm)搭載車と、フルタイム4WD仕様の「4×4」が追加されました。同時に、XR4iはフルタイム4WD版の「XR4×4」に置き換えられました。次いで1987年のマイナーチェンジで内外装デザインが変更された他、派生モデルとして4ドアセダンの「シエラ・サファイア」がリリースされました。
次いで1989年、XR4×4のエンジンがガソリン2.9L V6OHV(最高出力152ps/最大トルク23.8kgm)に置換されました。続いてモデル末期の1993年には、2L直4DOHCガソリンエンジン(最高出力120ps/最大トルク17kgm)と、1.8L直4SOHCディーゼルターボエンジン(最高出力76ps/最大トルク15.5kgm)が追加されました。そして同年、後継モデル「モンデオ」にバトンタッチして生産終了となりました。