フォード・モーターは1969年4月、1960年にリリースした「ファルコン」の実質的な後継モデルとなる小型乗用車「マベリック」を発売しました。プラットフォームはファルコンからのキャリオーバーで、メカニズムも平凡であったものの、廉価な価格設定により商業的に大きな成功を収めました。
ボディをファルコンから縮小
ボディタイプは当初2ドアセダンのみの設定で、スタイリングは丸型2灯式ヘッドランプ採用のシンプルなフロントマスクとファストバックの流麗なフォルムが特徴でした。ボディサイズは全長4,557mm×全幅1,793mm×全高1,323mmで、ファルコンよりも一回り小さく、ホイールベースはそれよりも200mm程短い2,616mmに設定されていました。
駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンは当初ファルコンからキャリオーバーされた3.3L直6OHV(最高出力122ps/最大トルク26.3kgm)のみの設定でした。組み合わせられるトランスミッションは、3速MT又は3速トルコン式ATでした。又、サスペンションはリアがリジッド・アクスル式で、ブレーキは4輪ドラム式でした。
4ドアセダンを追加
1970年には4.1L直6OHVエンジン(最高出力157ps/最大トルク33.1kgm)が追加されました。同時に、スポーティな内外装が備わるパッケージ「グラバー」が設定された他、ステアリングホイールの意匠が変更されました。次いで1971年には、全長4,732mm×全幅1,796mm×全高1,349mm、ホイールベース2,791mmのボディ・ディメンションを持つ4ドアセダンが追加されました。
同時に排出ガス規制への対応が実施され、エンジンのアウトプットが3.3Lは最高出力92ps/最大トルク21.3kgm、4.1Lは最高出力99ps/最大トルク25.3kgmへと大きくドロップしました。又、2.8L直6OHVエンジン(最高出力83ps/最大トルク17.8kgm)と、4.9L V8OHVエンジン(最高出力145ps/最大トルク33.4kgm)が追加されたのもこの年の事でした。
次いで1973年のマイナーチェンジでバンパーやフロントグリルの変更などが実施されると同時に、2.8Lエンジンがカタログ落ちしました。続いて翌1974年に保安基準改正に伴うマイナーチェンジが実施され、前後バンパーの位置が高められました。次いで1976年にはフロント・ブレーキがディスク式に変更されると共に、グラバーに代わる新パッケージ「スタリオン」が設定されました。
そして翌1977年、米国での生産・販売が終了となりました。一方、ブラジルでは生産が継続され、翌1978年には4.9Lエンジンのアウトプットを最高出力197ps/最大トルク39.5kgmに高めて搭載する2ドアセダンの「GT」と、2.3L直4OHVエンジン(最高出力98ps/最大トルク16.9kgm)を搭載する4ドアセダン「スーパー」が追加されました。そして1979年をもってブラジルでの生産も終了となりました。