ルノーは1992年9月のパリサロンにおいて、「クリオ」の弟分となる新型FFコンパクトカー「トゥインゴ」を発表しました。前年に生産終了となった「4」に代わり同社のボトムレンジを担う事となったこのモデルは、実用性を重んじるフランス車には珍しいファニーなスタイリングや、クラスレスな雰囲気を特徴としていました。
ショート&ワイドなディメンション
3ドアハッチバックのみが用意されるボディは、本田技研工業の軽乗用車「トゥデイ」の影響が感じられるスタイリングを備えていました。ボディサイズは全長3,430mm×全幅1,630mm×全高1,420mmで、クリオに対し全長が300mm以上短い一方、全幅と全高は大きい独特なディメンションでした。又、ホイールベースはクリオより100mm以上短い2,345mmでした。
サスペンション形式は、フロントにマクファーソンストラット式、リアにトーションビーム/コイル式が採用されました。パワートレインは、当初1.2L直4OHVエンジン(最高出力55hp/最大トルク9.5kgm)が5速MTと組み合わせて搭載されました。一方、乗車定員4名の室内は、優れた居住性と共にデジタル式センターメーター採用のシンプルなインパネが備わっていました。
AT仕様を追加
その後、クラッチを省きシフト操作のみでの変速を可能とした5速セミAT仕様と4速トルコン式AT仕様が追加され、1996年にはエンジンが1.1L直4SOHC8V(最高出力58hp/最大トルク9.5kgm)に置換されました。次いで1998年にフェイスリフトが実施された後、2000年にエンジンが1.1L直4SOHC16V(最高出力75ps/最大トルク10.7kgm)に置換されました。
同時に、5速セミATに代わりオートマチックモードが備わる5速AMTが設定されました。そして2007年6月にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。日本市場に正規輸入が開始されたのは1995年9月からで、ルノー車には珍しく左ハンドル仕様のみの設定でした(元々右ハンドル仕様は生産されない為)。
まず上陸を果たしたのは、1.2L OHVエンジン(日本仕様は最高出力52ps/最大トルク9.1kgm)搭載5速MTの「パック」及び5速セミATの「イージー」の2タイプで、その後1997年10月にエンジンが1.1L SOHC(日本仕様は最高出力58ps/最大トルク9.3kgm)に置換されると共に、パワーステアリングを省いたエントリーグレード「ベーシック」が追加されました。
次いで1998年11月、フェイスリフト版への移行と共に安全装備の強化が図られ、ベーシックは廃止されました。続いて2001年5月にABSを標準化した「イージースペシャルバージョン」が追加され、追って同年8月に5速AMT仕様の「クイックシフト5」の導入が開始されました。但し、本国仕様と異なり両モデル共エンジンは8V仕様のままで、販売も2003年7月をもって打ち切られました。