ランボルギーニは、1968年のジュネーブショーにおいて旧式化した「400GT」に代わる2台の新型グランツーリスモを発表しました。1台は400GT同様2+2シーターのレイアウトを持つ「イスレロ」、そしてもう1台がランボルギーニ初のフル4シーターモデルとなる「エスパーダ」でした。エスパーダは、2ドアクーペながらVIP用途にも応えられる後席スペースを持つ異色のモデルでした。
セミモノコックボディを採用
車体構造は、同時にデビューしたイスレロが400GT譲りの古典的なマルチ・チューブラ・フレーム構造であったのに対し、エスパーダでは近代的なセミモノコック構造が採用されました。ボディのデザインを手掛けたのは「ミウラ」などと同様マルチェロ・ガンディーニで、低い位置に備わる固定式の丸型4灯式ヘッドランプや大きなガラス製リアフードがスタイリング上の特徴でした。
ボディサイズは全長4,738mm×全幅1,860mm×全高1,185mmで、全高こそイスレロよりも低かったものの、全長と全幅は遥かに大きくランボルギーニ車で最大となりました。又、リアシートの居住性を確保する為、ホイールベースも同社のモデルとして最長の2,650mmに設定されました。こうしたボディの大型化に伴い、車両重量はどのランボルギーニ車よりも重い1,480kgに達しました。
サスペンションやブレーキはイスレロと共通で、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションと4輪ディスクブレーキが採用されました。駆動方式も同様にFRで、エンジンも同じく最高出力320hp/6,500rpm・最大トルク40kgm/5,500rpmのアウトプットを発生する4L V12DOHCが搭載されました。トランスミッションも同じ5速MTが組み合わせられたものの、重量増に対応する為ファイナルレシオが下げられました。最高速度は5km/h低い245km/hでした。
インパネのデザインを三度変更
インテリアは、初期型のシリーズⅠでは2段重ねのメーターナセルが備わるユニークなデザインのインパネを採用し、装備面ではエアコンやパワーウィンドウを備えていました。そして翌1969年に早くもマイナーチェンジが行われ、シリーズⅡに移行しました。エクステリアの一部変更と共にインパネのデザインが刷新され、メーターナセルがオーソドックスな長方形タイプに変更されました。
同時に、エンジンの圧縮比を高め最高出力が350hp/7,500rpmに向上しました。次いで1973年に2度目のマイナーチェンジを実施しシリーズⅢに移行、インパネがドライバーを取り囲むようなデザインに変更されました。又、クライスラー製3速トルコン式ATがオプション設定されました。そして1975年の一部仕様変更によりシリーズⅣとなり、北米向けモデルに5マイルバンパーが装着されました。
エスパーダは、僅か2年で生産終了となったイスレロとは対照的に、1978年までの10年間に渡り販売が継続されるロングセラーとなり、総生産台数は1,217台に達しました。