ゼネラルモーターズ(GM)は1997年、GMCブランドで販売していたミディアムSUV「ジミー」に、上級グレードの「エンボイ」を追加しました。その後2002年に、ジミーの後継モデルとして全面的にリニューアルされた2代目エンボイがリリースされました。シボレー・ブランドからリリースされた「トレイル・ブレイザー」と姉妹車種の関係にあったものの、それとは異なる内外装が与えられました。
ロングホイールベース版も用意
ボディタイプは、ジミー・エンボイ時代に設定のあった3ドアが廃止され、5ドアに一本化されました。一方で、ショートホイールベースの標準ボディのほかに、ロングホイールベースの「XL」が設定されました。スタイリングは、フロントマスクが一新されたほか、角型のホイールアーチやブラックアウトされたB/Cピラーの採用などにより、ジミー・エンボイから大きくイメージを変えました。
ボディ・ディメンションは全長4,867mm(標準ボディ)/5,273mm(XL)×全幅1,897mm×全高1,826mm(標準ボディ)/1,918mm(XL)、ホイールベース2,870mm(標準ボディ)/3,277mm(XL)で、ジミー・エンボイ時代から一回り以上拡大されました。駆動方式は、FRとパートタイム4WDが設定されました。
エンジンは当初、4.2L直6DOHCのLL8型(最高出力274ps/最大トルク38kgm)のみが用意され、トランスミッションは4速トルコン式ATが組み合わせられました。サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン式を踏襲し、リアはリジッド・アクスル式を踏襲しながらも、リーフ式から5リンク/コイル式に変更されました。
V8エンジンを追加
また、ブレーキは全車に4輪ベンチレーテッド・ディスク式が装備されました。乗車定員は標準ボディが2列シート5人乗り、XLが3列シート7人乗りで、ともにトレイル・ブレイザーよりも上質なインテリアが与えられました。その後、2003年モデルで4.2Lエンジンの最高出力が279psに向上するとともに、XLに5.3L V8OHVのLM4型エンジン(最高出力294ps/最大トルク45kgm)がオプション設定されました。
続く2004年モデルでは、XVをベースに可動式のリアルーフセクションを与え、荷室を開放できる仕様とした「XUV」が追加されました。SUVとピックアップトラックの折衷的なモデルで、丈のある荷物でも積載できる点がメリットでした。次いで2005年モデルで、5.3Lエンジンに燃費向上に貢献する気筒休止システムが採用されました。
それと同時に、標準ボディとXLにこの5.3Lエンジンを搭載し、専用の内外装やパワーシート&シートヒーター、雨天感知式ワイパーなどが備わる上級グレード「デナリ」が設定されました。さらに翌2006年モデルでは、「スタビリトラック」と呼ばれるトラクションコントロールシステムやクルーズコントロールなどが標準化されました。
そしてこのモデルイヤーをもってXL/XLデナリは廃止され、残るモデルも2009年をもって生産終了となりました。