いすゞ自動車は1995年12月、国内において2/3ドアの個性派SUV「ミュー」の5ドアバージョンとなる「ミューウィザード」を発売しました。北米市場ではすでに1990年から「ロデオ」の車名で販売されていたモデルで、基本設計はミューとは異なり、上級モデル「ビッグホーン」のロングボディ仕様と共通のシャシーが使用されました。
ボディはメタルトップ仕様のみ
ボディタイプは、ミューにはメタルトップ仕様とFRPトップ仕様が用意されていたのに対し、全車メタルトップ仕様となっていました。スタイリングは、フロントマスクの意匠はミューと共通であった一方、それよりも抑揚や個性を抑えたプレーンなフォルムを備えていました。ボディサイズは、全長4,585mm×全幅1,765mm×全高1,750mmでした。
ミューに対しては全長が420mm、全高が80mm大きく、全幅は15mm狭いディメンションでした。ホイールベースはビッグホーン・ロングボディと共通の2,760mmで、ミューとの比較では430mm長く設定されていました。室内は、ミューが2人または4人乗りであったのに対し、5人乗りとなっていました。
リアにコイル式サスペンションを採用
サスペンション形式は、フロントはミューと共通のダブルウィッシュボーン/トーションバー式で、リアはリジッド・リーフ式に代わり4リンク/コイル・リジッド式が採用されました。駆動方式はミュー同様パートタイム4WDのみの設定で、エンジンもそれと共通の3.1L直4OHV過流室式ディーゼルターボの4JG2型(最高出力120ps/最大トルク27.5kgm)が搭載されました。
トランスミッションはミューと異なり5速MTの設定がなく、全車4速トルコン式との組み合わせでした。また、ブレーキはミュー同様、全車に4輪ベンチテーテッド・ディスク式が採用されました。グレード体系は標準グレード「タイプE」と、アルミホイールやCDチェンジャー付きオーディオ、レザーステアリングなどが備わる上級グレード「タイプX」の2タイプのラインナップでした。
安全装備としては、両グレードにABSとSRSデュアルエアバッグシステムがオプション設定されました。その後1996年6月に、ABSが標準装備される特別仕様車「ホワイトリミテッド」が設定されました。次いで1997年5月に一部改良が実施され、エンジンの改良によりアウトプットが最高出力125ps/最大トルク29kgmに向上するとともに、排出ガスのクリーン化が実現しました。
同時に、ステアリングの改良による操舵力の軽減が図られたほか、フロントスポイラーの塗装がボディ同色に変更されました。そして1998年5月にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデル「ヴィザード」にバトンタッチされました。
関連:初代ミュー
後継モデル:2代目ウィザード