いすゞ自動車は1989年4月、新型SUV「ミュー」を発売しました。既に市場に投入されていたSUV「ビッグホーン」やピックアップトラック「ファスター/ロデオ」のコンポーネンツを流用して製造されたモデルで、Bピラーより後ろの部分が解放型の荷台となっている独特なエクステリアが特徴でした。
2種類のルーフを用意
当初のボディタイプは2ドアのみであった一方、ボディ後半部分にFRP製トノカバーが備わる「ハードカバー」と、ソフトトップ仕様の「ソフトトップ」の2タイプが用意されました。スタイリングは、フロントマスクはファスター/ロデオと共通ながら、ロールバー風の太いBピラーを持つことが特徴でした。また、リアシートは備わらず、乗車定員は2名となっていました。
ボディ・ディメンションは全長4,135mm×全幅1,780mm×全高1,695mm、ホイールベース2,330mmというショート&ワイドなものでした。サスペンション形式はビッグホーン同様、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがリジッド・リーフ式で、駆動方式も同様に全車パートタイム4WD方式でした。
エンジンは当初、2.6L直4OHVガソリンNAの4ZE1型(最高出力120ps/最大トルク20kgm)と、2.8L直4OHVディーゼルターボの4JB-T型(最高出力110ps/最大トルク23kgm)の2種類が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTのみの設定でした。ブレーキは、全車にフロントがベンチテーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。
1990年にメタルトップ仕様を追加
当初のグレード体系は、ベースグレードと「ブライト仕様」の2タイプのラインナップでした。その後1990年8月に、3ドアメタルトップ・4人乗り仕様の「メタルトップ」が追加されました。次いで1991年9月に最初のマイナーチェンジが実施され、フロントグリルの意匠変更とともにディーゼル車に4速トルコン式AT仕様が追加されました。
次いで1992年10月に実施された2度目のマイナーチェンジでは、フロントグリルやバンパーの意匠変更とともに、サイドドアビームやシートベルトウォーニングなどが採用されました。同時に、ソフトトップは廃止されました。続いて1993年9月に一部改良が実施され、エンジンが3.1L直4OHV過流室式ディーゼルターボの4JG2型(最高出力120ps/最大トルク27.5kgm)に置換・一本化されました。
同時に、リアのディスクブレーキがフロント同様のベンチレーテッド型にアップデートされたほか、タイヤが全車15インチから16インチへと拡大されました。次いで1995年12月に実施された一部改良では、内装デザインなどが変更されるとともに、ABSとSRSデュアルエアバッグシステムがオプション設定されました。そして1998年6月にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。
後継モデル:2代目いすゞ ミュー