フォード・モーター(英国フォード)から1968年にリリースされた小型乗用車「エスコート」は、1980年9月に5年ぶり2度目のフルモデルチェンジを受け、マーク3に移行しました。駆動方式がFRから横置きFFに、ボディタイプがセダンからハッチバックに変更されるなど、それまでの旧態依然としていた成り立ちが全面的に刷新されました。
4輪独立懸架を採用
ボディタイプは、当初用意されたのは3ドアおよび5ドアハッチバックで、スタイリングはごく短いノッチが備わる3ボックス型でした。また、空力特性向上にも配慮が行われ、Cd値0.39を実現しました。ボディサイズは全長3,970mm×全幅1,640mm×全高1,380mmで、全長はマーク2とほぼ同等だったものの、全幅と全高が拡大されました。ホイールベースは2,393mmで、僅かに短縮されました。
サスペンション形式は、フロントはマクファーソンストラット/コイル式を踏襲し、リアは旧式なリジッド・アクスル/リーフ式からトレーリングアーム/コイル式による独立懸架に変更されました。エンジンは当初、マーク2からキャリオーバーされた1.1L直4OHV「ケント・ユニット」と、新設計の1.3Lおよび1.6L直4SOHC「CHVユニット」が用意されました。
スペックは、1.1Lが最高出力51ps/最大トルク8.6kgm、1.3Lが最高出力70ps/最大トルク10.2kgm、1.6L標準仕様が最高出力80ps/最大トルク12.7kgm、同ハイチューン仕様が最高出力97ps/最大トルク13.5kgmでした。トランスミッションは従来同様、4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。グレード体系は、下から「ポピュラー」「L」「GL」「ギア」「XR3」のラインナップでした。
ラインナップを拡充
これらの中で、1.6Lハイチューン仕様エンジンを搭載するXR3は、最高速度182km/hの性能を持っていました。ブレーキは、フロントはXR3にはベンチテーテッド型の、それ以外にはソリッド型のディスクブレーキを採用、リアは全車ドラム式でした。そして翌1981年、3ドアステーションワゴン「エステート」が追加されました。
次いで1983年には、5ドアエステートと2ドアカブリオレがラインナップに加わりました。さらにこの年、ハッチバック/カブリオレに1.6L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン搭載の「XR3i」が設定された他、ハッチバックに1.6L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力115ps)搭載の「RS1600i」が追加されました。
また、L/GLに1.6L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力55ps/最大トルク9.7kgm)搭載車が設定されたのも同年の事でした。次いで1985年、1.6L直4SOHCターボチャージャー仕様エンジン(最高出力134ps/最大トルク18.4kgm)+5速MTを搭載し、最高速度196km/h・0-60mph加速8.2sの性能を持つ「RSターボ」が追加されました。
そして1986年3月にフルモデルチェンジが実施され、マーク4に移行しました。