マセラティはフィアット傘下に入った翌1994年のトリノ・ショーで、ミディアムセダン「430」の後継モデルになると同時に、通算で4代目となる「クアトロポルテ」を発表しました。従来のようなプレミアムモデルとしての位置付けではなくななり、歴代クアトロポルテよりもボディサイズが一回り小振りになった他、過給器付エンジンの採用により性能アップが図られました。
デザインはガンディーニが担当
エクステリア・デザインは、ジョルジェット・ジウジアーロの息が掛かった先代の「クアトロポルテⅢ/ロワイヤル」と異なり、マルチェロ・ガンディーニにより手掛けられました。ボディサイズは全長4,550mm×全幅1,810mm×全高1,380mm、ホイールベースは2,650mmで、クアトロポルテⅢから全長が330mm、ホイールベースは150mm短縮されました(全幅・全高は若干拡大)。
こうしたディメンション変更に伴い、車両重量は200kg以上軽い1,515~1,560kgとなりました。サスペション形式は、4輪ダブルウィッシュボーン式からフロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式に変更されました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは2.8L V6DOHCターボとイタリア国内専用の2L V6DOHCターボが用意されました。
スペックは前者が最高出力285ps/6,000rpm・最大トルク42kgm/3,500rpm、後者が最高出力300ps/6,500rpmで、トランスミッションは6速MTの他、2.8L車には4速トルコン式ATも用意されました。最高速度は2.8L MT車が254km/h、2L車が260km/hでした。装備面では、ABSや運転席SRSエアバッグシステムといった安全装備が採用された事がトピックでした。
ビッグM/Cで大幅にリファイン
そして1996年に、3.2L V8DOHCターボエンジン(最高出力336ps/6,400rpm・最大トルク45.9kgm/4,400rpm)搭載車が追加されました。最高速度は6速MT車で275km/hに向上、4速AT車でも265km/hに達しました。次いで1998年に、同じくフィアット傘下に属するフェラーリ主導の元でビッグマイナーチェンジが実施され、車名が「クアトロポルテ・エボルツォーネ」となりました。
800個所にも及ぶ変更により信頼性や仕上げが大幅に向上した他、エクステリアデザインの一部変更やホイールのインチアップと意匠変更、インパネのスイッチレイアウトやドライビングポジションの見直しなどが行われました。しかしその一方で、ロワイヤル以来採用されてきたラ・サール製のアーモンド型の金時計は、一般的なデジタル時計にリプレイスされてしまいました。
クアトロポルテ・エボルツィオーネは2000年に生産終了となり、5代目モデルが発売される2004年までクアトロポルテの車名は一旦ラインナップから消滅しました。