1985年に「フォード・トーラス」のマーキュリーバージョンとして誕生したFF中型乗用車「セーブル」は、1999年に3年ぶり3度目のフルモデルチェンジを受け、4代目モデルに移行しました。実質的には先代のビッグマイナーチェンジ版で、プラットフォームは「フォードD186プラットフォーム」がキャリオーバーされた他、基本メカニズムも踏襲されました。
パワートレインは先代と共通
ボディタイプは先代同様、4ドアセダンと5ドアステーションワゴンが用意されました。スタイリングはオーバルを基調とした造形が薄められるとともに、フロントグリルの大型化やCピラー以降のデザイン変更などにより、相対的にコンサバティブな雰囲気に変貌しました。ボディサイズは、全長5,070mm(セダン)/5,020mm(ワゴン)×全幅1,900mm×全高1,410mm(セダン)/1,470mm(ワゴン)でした。
このディメンションは実質的に先代と同等で、ホイールベースも先代と同一の2,760mmでした。エンジンは、3L V6OHVの「SFIバルカン」(最高出力155hp/最大トルク25.6kgm)と、同DOHCの「デュラテック30」(最高出力200hp/最大トルク25.9kgm)が先代からキャリオーバーされました。トランスミッションも先代同様、全車4速トルコン式ATとの組み合わせでした。
インパネのデザインを一新
サスペンション形式は4輪ストラット式を踏襲し、ブレーキも先代同様フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。一方インテリアは、インパネのデザインが先代のオーバル基調からヘキサゴン基調に変更されました。また、安全装備面では先代同様、SRSデュアルエアバッグシステムやABSが標準装備されました。
さらに、新たにSRSサイドエアバッグシステムとトラクションコントロールがオプション設定されました。グレード体系は、先代同様標準グレードの「GS」と上級グレードの「LS」がラインナップされました。その後、2002年モデルで内装が一部変更されるとともに、GSに運転席パワーシートやCDプレーヤーが、LSに電動サンルーフの「ムーンルーフ」が標準化されました。
次いで2004年のフェイスリフトにより内外装デザインが変更されると同時に、デュラテック30エンジンのアウトプットが最高出力201hp/最大トルク28.6kgmに向上しました。そして2005年に後継モデル「マーキュリー・モンテゴ」にバトンタッチして生産を終了、セーブルの車名は一旦フォードのラインナップから消滅しました。
4代目セーブルは、先代で不評だった内外装デザインを改めたものの、人気の向上には結び付きませんでした。また、先代に引き続き日本市場への導入は見送られました。