日産の小型乗用車「プレセア」は、「ローレルスピリット」の実質的な後継モデルとして1990年6月にデビューを飾りました。オーソドックスな4ドアセダンだったローレルスピリットに対し、「トヨタ・カリーナED」の大ヒットに触発され4ドアピラーレスハードトップボディを採用、後席の居住性を犠牲にしてスタイリングの美しさを追求したモデルとなりました。
流麗かつ背の低いボディが特徴
基本コンポーネンツは7代目「サニー」と共通であったものの、スタイリングは全く異なり、グリルレスのすっきりしたフロントマスクと曲線を多用した流麗なフォルムを備えていました。ボディサイズは全長4,395~4,420mm×全幅1,690mm×全高1,320mmで、サニーや先代のローレルスピリットと比較すると、長くワイドで低いディメンションが特徴でした。
ホイールベースはそれらよりも70mm長い2,500mmで、車両重量は990~1,150kgでした。サスペンション形式は、サニー同様のフロント:ストラット式/リア:パラレルリンクストラット式を採用し、駆動方式はFFのみで4WDは最後まで用意されませんでした。エンジンは1.5L直4のGA15DS型、1.8L直4のSR18Di型、2L直4のSR20DE型の3種類がラインナップされました。
日産プレセアのCM
スペックはそれぞれ最高出力94ps/最大トルク12.8kgm、最高出力110ps/最大トルク15.3kgm、最高出力140ps/最大トルク18.2kgmで、トランスミッションは各エンジンに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。発売当初のグレード体系は「Ct.Ⅰ」と「Ct.Ⅱ」の2種類のみとシンプルで、後者にはマリーンブルーメーターやツイード調のシート生地が与えられました。
そして翌1991年5月に、1.8L/2L車にエアロパーツやスポーツシート、本革巻きステアリングなどが備わるスポーティグレード「ブラックスター」が、更に同年12月には、1.5L/1.8L車にCDプレーヤーや運転席パワーシートが備わる新グレード「ポーラスター」が追加されました。次いで1992年6月にマイナーチェンジを実施し、フロント廻りとリア廻りの意匠が一部変更されました。
M/Cでエンジン性能が向上
同時に1.8L車のエンジンがSR18DE型に置換され、スペックが最高出力125ps/最大トルク16kgmに向上した他、2L車もエンジン型式は同一ながら最高出力が145psに向上しました。又、グレード体系も変更になり、本革巻きステアリングやスエード調シートが備わる「Ct.ⅡD.セレクション」と、エアロパーツやスポーツシートが備わる「Ct.S」が追加され、「ブラックスター」及び「ポーラスター」は廃止されました。
続いて1993年9月に一部改良を行い、オゾン層保護対策としてエアコンに新冷媒が採用された他、一部グレードにバニティミラーやイグニッションキー照明が採用されました。次いで1994年5月に、1.5L/1.8L車にオートエアコンやモケットシート、スーパーファインコーティングなどが備わる新グレード「SV」が設定されました。そして1995年1月にフルモデルチェンジを実施し、2代目モデルにバトンが渡されました。