プジョーは1983年、「104」と「305」の間を埋めるBセグメントFFコンパクトカー「205」を発売しました。ピニンファリーナの息がかかった洒脱なスタイリングや優れたトータルバランス、多彩なバリエーションなどが好評を博し、世界的なベストセラーかつロングセラーカーとなりました。
空力特性に優れたボディ
当初3ドアハッチバック及び5ドアハッチバックが用意されたボディは、Cd値0.35の優れた空力特性が備わる他、前者は独特な形状のリアクォーターウィンドウがデザイン上のアクセントになっていました。ボディサイズは全長3,705mm×全幅1,562mm×全高1,376mmで、104に対し全高を除き一回り大きく、ホイールベースは同一の2,420mmでした。
エンジンは、まず1Lシングルキャブレター仕様(最高出力45hp/最大トルク6.8kgm)、1.1Lシングルキャブレター仕様(最高出力50hp/最大トルク8.6kgm)、1.4Lシングルキャブレター仕様(最高出力60hp/最大トルク10.9kgm)、同ツインキャブレター仕様(最高出力80hp/最大トルク11.1kgm)の4種類のガソリン直4SOHCが用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、1.4Lツインキャブレター仕様エンジンを搭載する「GT」のみ5速MTで、それ以外は4速MTでした。サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラット/コイル式、リアがレーリングアーム/トーションバー式による4輪独立懸架が採用されました。
ホッチハッチやカブリオレなどを追加
そして翌1984年、1.8L直4SOHCディーゼルエンジン(最高出力60hp/最大トルク11kgm)搭載車と、専用の内外装や足回りなどが備わる3ドアボディに、ガソリン1.6L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力105hp/最大トルク13.7kgm)+5速MTを搭載するホットハッチ「GTI」が追加されました。
更にこの年、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションや4輪ベンチレーテッドディスクブレーキが備わるFRP製3ドアボディに、ガソリン1.8L直4DOHC電子燃料噴射ターボエンジン(最高出力200hp/最大トルク26kgm)をミッドシップマウントするグループBホモロゲーションモデル「205ターボ16」が200台限定で発売されました。
次いで1985年、手動開閉式のソフトトップが備わる2ドア4シーター仕様のカブリオレがラインナップに加わった他、ハッチバックにガソリン1.6L直4SOHCシングルキャブレター仕様エンジン(最高出力80hp/最大トルク13.5kgm)+ZF製4速トルコン式ATを搭載する「オートマチック」が追加されました。
更に1986年には、ガソリン1.9L直4SOHC電子燃料噴射仕様エンジン(最高出力130hp/最大トルク16.8kgm)を搭載し、4輪ディスクブレーキが備わるホットハッチ「GTI1.9」がリリースされました。続いて1990年、ガソリン1.3L直4SOHCツインキャブレター仕様エンジン(最高出力103hp/最大トルク12.2kgm)を搭載するラリー競技用ベース車両「ラリー」がリリースされました。
そして1998年、後継モデル「206」にバトンタッチして生産終了となりました。日本市場においては、1986年にまずGTI及びディーゼルモデル「SRD」が上陸を果たしました。その後、1.4Lエンジン搭載の「XS」や1.6Lエンジン搭載の「XS AUTO」、1.9L版のGTI、1.9Lエンジン(最高出力100hp/最大トルク14.4kgm)搭載の「CTI」「CTIカブリオレ」などが追加されました。