ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1997年秋のフランクフルト・ショーにおいて、同社初のハッチバック・コンパクトカー「Aクラス」を発表しました。伝統的にFR方式を採用してきた同社として初めてFF方式を採用した事に加え、燃料電池ユニットの搭載を前提に「サンドイッチ・コンセプト」と呼ばれる2重フロア構造を採用した事が特徴でした。
一般的な内燃機関を搭載
丸みを帯びたモノボックス・フォルムの5ドアボディは、全長3,606mm×全幅1,719mm×全高1,587mmというショート&ワイドかつハイトの高いディメンションが特徴でした。ホイールベースは2,423mmで、車両重量は初期のモデルで1,020~1,155kgでした。サスペンション形式は、フロントにストラット式が、リアにパラボリック・リアアクスル式が採用されました。
パワートレインは、本命の燃料電池ユニットは実用化の大幅な遅れから採用には至らず、一般的なガソリン及びディーゼルエンジンが搭載されました。当初用意されたのは、ガソリン1.4L直4SOHC(最高出力82ps/最大トルク13.3kgm)搭載の「A140」及び1.6L直4SOHC(最高出力102ps/最大トルク15.3kgm)搭載の「A160」の2タイプでした。
トランスミッションは前者に5速MTが、後者に5速MT又は5速トルコン式ATが組み合わせられました。又、ブレーキは全車に4輪ディスク式が奢られた他、重心高の高さによる横転防止対策として、横滑り防止装備「ESP」が全車に標準装備されました。そして翌1998年に、1.7L直4SOHCディーゼルエンジン搭載車が追加されました。
グレードは最高出力60ps/最大トルク16.3kgm仕様の「C160CDI」と、最高出力90ps/最大トルク18.4kgm仕様の「C170CDI」が用意されました。次いで1999年、1.9L直4SOHCガソリンエンジン(最高出力125ps/最大トルク18.4kgm)を搭載する「A190」が追加になり、翌2000年にはA140にAT仕様が設定されました。
ロングホイールベース仕様を追加
続いて2001年、ホイールベースを170mm、全長を174mm延長した「Lシリーズ」が追加された他、1.7Lディーゼルエンジンに改良が加えられ、最高出力がA160CDIは75psに、A170CDIは95psに向上しました。更に2002年には、エアロパーツやスポーツサスペンションなどが備わる車体に、2.1L直4SOHCエンジン(最高出力140ps/最大トルク20.9kgm)を搭載する「A210/A210Lエボリューション」が追加されました。
そして2004年にフルモデルチェンジが実施され、2代目W169型に移行しました。日本市場における初代Aクラスは、1998年9月にまずA160(5速AT仕様)が上陸を果たし、1999年10月に「A190アバンギャルド」(5速AT仕様)が、2001年8月に「A160エレガンス」「A160Lエレガンス」(5速AT仕様)が追加されました。
更に2003年5月には、期間限定モデルとして「A210Lエボリューション」(5速AT仕様)が発売されました。そして2005年2月に、2代目W169型に切り換えられました。