イギリスの高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティン・ラゴンダは1965年、1963年にリリースした「DB5」の後継モデルとなる新型グランツーリスモ「DB6」を発売しました。傾斜の強められたフロントウィンドウやカムテールの採用などにより空力特性が向上するとともに、エアコンやパワーステアリングといった豪華装備が設定されたことが特徴でした。
DB5からホイールベースを延長
2+2シーター仕様のボディは、DB5同様フィクスドヘッドの2ドア・クーペと、「ヴォランテ」と名付けられた2ドア・ソフトトップコンバーチブルが設定されました。また、引き続きコーチビルダーのハロルド・ラドフォードの手により、3ドア・シューティングブレークがごく少数製造されました。
スタイリングは、フロントグリルなどはDB5のイメージが踏襲された一方で、分割式の前後バンパーの採用や前述したようなリアまわりの意匠変更などにより、容易にDB5との識別が可能でした。ボディサイズは全長4,623mm×全幅1,676mm×全高1,359mm(クーペ)/1,346mm(ヴォランテ)で、DB5から全長と全高が若干拡大されていました。ホイールベース2,584mmで、DB5から100mm近く延長されました。
また、車両重量はクーペが1,550kg、ヴォランテが1,466kgとなっていました。サスペンション形式は、DB5同様のフロント:ダブルウィッシュボーン/コイル式、リア:ド・ディオン・アクスル式が踏襲されました。駆動方式もFRが踏襲されたほか、エンジンもオールアルミ製の4L直6DOHC がキャリオーバーされました。
DB5同様高性能版のヴァンテージも用意
スペックは、SU3連キャブレターが備わる標準モデルが最高出力286ps/5,500rpm・最大トルク38.8gm/4,500rpm、より高い圧縮比とウェーバー3連キャブレターが備わる高性能版「ヴァンテージ」が最高出力330ps/5,750rpm・最大トルク40.1gm/4,500rpmでした。トランスミッションはZF製の5速MTが標準となるほか、オプションでボルグ・ワーナー製の3速トルコン式ATが用意される点もDB5と共通でした。
ヴァンテージ5速MT仕様のパフォーマンスは、最高速度が238km/h、0-60mph加速タイムが6sでした。ブレーキはDB5同様、フロントに292mm径、リアに274mm径のディスクローターが備わる4輪ディスク式が採用されました。また、ホイール&タイヤもDB5と同様で、前後とも5.5J×15インチのワイヤーホイールと6.70-15タイヤの組み合わせが装着されました。
その後1969年にマイナーチェンジが実施され、ホイールフレアの形状を変更するとともにホイール&タイヤをワイド化した「DB6マークⅡ」シリーズに移行しました。そしてこの年、ニューモデル「V8」がリリースされたことにともない、翌1970年に生産終了となりました。