プジョーは1999年10月、1989年にリリースした「605」に代わる新型4ドアセダン「607」を発表しました。Eセグメントに属する大型車であると同時に、同社のヒエラルキーの頂点に位置するフラッグシップモデルでした。駆動方式は605同様のFFを踏襲し、5人乗りの室内は前後席間のウォークスルーが可能な仕様となっていました。
大型化と共に流麗なスタイリングに変貌
スタイリングは角ばった605から一転し、曲線を取り入れたセミファストバックの流麗なフォルムに変貌しました。ボディサイズは全長4,870mm×全幅1830mm×全高1,460mmで、605からそれぞれ105mm×30mm×35mm拡大されました。ホイールベースは同一の2,800mmで、サスペンション形式もフロント:マクファーソンストラット式/リア:ダブルウィッシュボーン式が踏襲されました。
エンジンは当初、2.2L直4DOHC(最高出力162ps/最大トルク22.1kgm)及び3L V6DOHC(最高出力213ps/最大トルク29.1kgm)のガソリンNA2種類と、2.2L直4DOHC(最高出力138ps/最大トルク32kgm)の直4ディーゼルターボが用意されました。トランスミッションは、各エンジンに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
又、ブレーキは605同様、フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。一方安全装備面では、SRSデュアル&サイド&カーテンエアバッグシステムやEBD付きABS、フォースリミッター&プリテンショナー付きシートベルトなどが採用されました。その後2004年にフェイスリフトが実施され、フロント廻りとリア廻りの意匠が変更されました。
ディーゼルエンジンのラインナップを拡充
同時に、2.7L V6DOHCディーゼルターボエンジン(最高出力204ps/最大トルク44.9kgm)搭載車が追加されました。又、このエンジンとガソリンV6エンジンを搭載するモデルに6速トルコン式ATが設定された事も、改良点のひとつでした。次いで2006年には、2.2Lディーゼルエンジンに最高出力170ps/最大トルク37.7kgmのハイパフォーマンス版が追加されました。
そして2011年に実質的な後継モデル「508」がデビューした事に伴い、翌2012年に生産を終了しました。日本市場に上陸を果たしたのは2001年10月の事で、グレードは3Lガソリンエンジン+4速AT搭載の「スポーツ」及び「コンフォート」の2タイプでした。装備面では、前者には17インチアルミホイールやファブリックシートが、後者には16インチアルミホイールやレザーシート、カーナビなどが装備されました。
次いで2003年4月に、42通りのボディカラーとインテリアカラーを選択出来るフルチョイス・オーダーシステム「607オートクチュール」が導入されました。しかし、日本においては不人気車種であった為、フェイスリフト版が導入される事もなく2005年5月をもって販売終了となりました。