ポルシェのプラグインハイブリッドスポーツカー「918スパイダー」は、2010年3月に開催されたジュネーブショーで初公開され、翌2011年3月にドイツ本国での受注を開始、日本でも同年5月に受注が開始されました。全世界限定918台の受注生産モデルで、ニュルブルクリンク北コースで6分57秒を記録するなど、市販車としてはトップレベルの走行性能を持ちます。
ボディはカーボンファイバー製
ボディ形状はデチャッタブルトップを備える2シーターカブリオレで、素材には軽量なカーボンファイバー強化プラスチック製を採用します。駆動方式はMRで、スタイリングは一目でポルシェの車種である事が分かるアイデンティティーと共に、同じくMRレイアウトを採用する「ボクスター/ケイマン」よりも一段とレーシーなプロポーションが備わります。
ボディサイズは全長4,643mm×全幅1,940mm×全高1,167mm、ホイールベースは2,730mmで、ボクスター/ケイマンより長く広く低いディメンションとなっています。車両重量は標準仕様で1,674kg、マグネシウムホイールの採用などにより更なる軽量化が図られたヴァイザッハパッケージ装着車で1,634kgで、前後重量配分は43:57となっています。
サスペンション形式は、「カイエン」や「パナメーラ」などと同様のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:マルチリンク式を採用します。ドライブトレインは、4.6L V8 NAエンジンと1基のモーターで後輪を、そしてもう1基のモーターで前輪を駆動するフルタイム4WD方式で、バッテリーはリチウムイオン式、トランスミッションは7速PDKを採用します。
システム出力887psのパワーと30km/L以上の燃費を両立
スペックは、エンジンが最高出力608ps/8,700rpm・最大トルク55.1kgm/6,700rpm、後輪用モーターが最高出力156ps/最大トルク38.2kgm、前輪用モーターが最高出力129ps/最大トルク21.4kgmとなります。システムとしては最高出力887ps/最大トルク93.5-130.5kgmを発生し、動力性能は最高速度345km/h、0-100km/h加速2.6sとなっています。
この数値はポルシェの車種としてトップとなる他、ハイブリッド車としては世界最高、市販車全体で見ても「ブガッティ・ヴェイロン」に次ぐパフォーマンスとなっています(※ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムはヴェイロンを大幅に凌ぐ)。又、EVモードの選択によりモーターのみでの走行も可能で、その場合の動力性能は最高速度150km/h、0-100km/h加速6.2sとなります。
そしてこの動力性能と同時に、欧州複合モードで32.3km/L(ヴァイザッハパッケージ装着車は33.3km/L)という優れた燃費性能や、CO2排出量70CO2g/kmの環境性能を併せ持ちます。価格はユーロ建てで、標準仕様が684,800ユーロ、ヴァイザッハパッケージ装着車が747,800ユーロでした。2015年には予定されていた918台の生産が完了しました。