あれは10年近く前の雨の午後のことです。わたしはひとり横浜市内の国道1号線を上っていました。やっと手に入れた、憧れの三菱・ランサーエボリューションⅨ GSR。わたしの思い通りに走ってくれる永遠の恋人。夫とランエボをどちらか選べと言われたら本気で悩んでしまうほど愛する車です。
ランエボⅨはこんなクルマ
雨が強くなってきたのでライトをつけました。日曜日と言えど混んでいます。何台か後ろにパトカーがいるのでアクセルの踏み加減に気をつけつつ走ります。路面の状態がダイレクトに伝わって来ます。この震動が心地良いのです。
えっ何? と思った次の瞬間
赤信号で私は止まりました。ほぼまっすぐな見通しの良い2車線の道路です。ふとルームミラーを覗くと後続車がやけに大きく見えました。えっ何? と思った次の瞬間、白いワンボックスが勢いよく突っ込んで来ました。衝撃で宙に浮いたような感じがしました。そして、前に止まっていたワゴン車と接触。きっといい音がしたことでしょう。
前のワゴン車のドライバーが下りてきました。わたしは窓を開けて「うしろ! 追突された。」と後方を指差しました。気持ち良くぶつかってくれたワンボックス車のドライバーも路上に降りてきて、気をつけをしてすみませんと謝罪しました。わたしは怒る気にもならなくて自分の携帯で110番通報しました。ほぼ同時に後ろにいたパトカーの警察官が来たので携帯をその人に渡して警察官同士で話してもらいました。そのほうが話が早そうです。
わたしの愛するランエボはどうしてくれるのでしょう。買ってからまだ半年しか経っていない走行距離わずか7,000キロの愛車は、左の後ろが無残にも凹んでライトカバーは砕け散っています。
その後管轄署の交通課の警察官が来て現場検証。その間にワゴン車のドライバーとワンボックスのドライバーと連絡先交換しました。その間に頭が痛くなったわたしは救急車で近くの病院に運ばれました。頭部のレントゲンとCTとMRIを撮りましたが、特に異常なし。明日以降、症状が変化したら速やかに受診するように言われて今度は警察署へ。そこで事情聴取されてやっと帰途に就きました。その日の予定はすべてキャンセルです。なんてことでしょう。ため息がもれます。
でも、問題はこれからが本番だった
翌朝目が覚めると首が痛い。回らない。これがムチ打ちというヤツか。病院、病院へ行かなきゃ。ちょっとした振動も響くのでそーっと歩き。バスと電車を乗り継いで1時間以上かけて昨日の病院を受診した。頸椎捻挫で全治10日間と診断されました。なんで? 10日や2週間でムチ打ちが治ったなんて聞いたことがありません。診断書を提出した警察署で尋ねたら、「10日間で良いですよ。治りっこありませんから。」 益々わからなくなりました。
帰宅したところへ相手方の保険会社から電話がありました。動くのが辛いので、治療費を保険会社が直接支払う自宅近くの病院に通うことにしました。首に湿布をして家でゴロゴロしているうちに少しづつ良くなりました。車は修理するか迷った末、差額を自己負担して買い換えました。
しかし、事故から2-3か月して強い倦怠感を感じるようになりました。腕も痺れています。調べると後遺症の胸郭出口症候群の可能性があることがわかりました。そこで頸椎の専門医を受診しました。様々な検査をした結果、ムチ打ちの後遺症であると診断されました。皆様も事故にはくれぐれもお気を付けください。