かつてイギリスに存在していた自働車メーカー、BLMCは、1976年6月にそれまでのP6系「ローバー・2200/3500」および「トライアンフ・2000/2500」を統合した新型フラッグシップモデル、SDI系「3500」を発売しました。コンベンショナルなFR方式やリジッド・アクスル式のリア・サスペンションなどが踏襲された一方で、スタリングは一新されました。
モダンな5ドアボディを採用
ボディタイプは、それまでのコンサバティブな3ボックス型4ドアセダンから、ファストバックの2ボックス型5ドアハッチバックに変更されました。また、エクステリアも発売以来13年が経過し古色蒼然としていたP6系などから一新され、グリルレスのフロントマスクや直線基調のシャープなボディラインが備わるモダンなデザインに変貌を遂げました。
ボディサイズは全長4,700mm×全幅1,770mm×全高1,360mmで、従来から全長と全幅が大幅に拡大された一方、全高は低められました。また、ホイールベースは200mm近く延長され2,815mmとなりました。サスペンション形式は、フロントはそれまでのトラバースリンク式から一般的なマクファーソンストラット式に変更されました。
エンジンは、ローバー・3500譲りのガソリン3.5L V8OHV SUツインキャブレター仕様(最高出力155ps/最大トルク27.4kgm)が搭載されました。トランスミッションは5速MTとボルグ・ワーナー製の3速トルコン式ATが設定され、前者を選んだ場合のパフォーマンスは最高速度203km/h・0-60mph加速8.6sでした。また、ブレーキはフロントがディスク式、リアがドラム式でした。
直6エンジン搭載車などを追加
ステアリング形式は、従来のウォーム&ローラー式からパワーアシスト付のラック&ピニオン式に変更されるとともに、ロック・トゥ・ロックが1回転ほどクイックな2.75回転となりました。そして翌1977年に、ガソリン2.3L直6SOHCエンジン(最高出力125ps/最大トルク18.6kgm)搭載の「2300」と、同2.6L直6SOHCエンジン(最高出力138ps/最大トルク21kgm)搭載の「2600」が追加されました。
次いで1982年にビッグマイナーチェンジが実施され、フロントマスクの意匠変更やリアウィンドウの拡大、インテリアの刷新などが行われました。同時にラインナップの拡充が図られ、ガソリン2L直4SOHCエンジン(最高出力101ps/最大トルク16.6kgm)搭載のエントリーモデル「2000」と、2.4L直4OHVディーゼルターボエンジン(最高出力89ps/最大トルク19.6kgm)搭載の「2400SD」が追加されました。
さらに、ガソリン3.5L V8OHVルーカス・Lジェトロニック燃料噴射仕様エンジン(最高出力190ps/最大トルク30.4kgm)を搭載する「3500ヴィテス」および「ヴァンデン・プラス」もラインナップに加わりました。そして1986年、後継モデル「800」にバトンタッチして生産終了となりました。