エンジンを駆動させるタイミングベルトについてですが、各メーカーが1970年代に競うように使用を始めた様に思えます。しかしタイミングベルトは定期交換の時期が設定されており、その当時から、定期交換作業が顧客の負担になる事や、切れた時に起こりうるリスクをメーカーは重視していないと思っていました。材質がゴム樹脂である為に、当然ながら寿命があるのです。
エンジン作動音の減少や軽量化
各メーカーはエンジンの開発当初はチェーン駆動やプッシュロッド駆動がメインでした。やがて、タイミングベルトが開発されると、中型や小型車に導入されたのです。確かにエンジン作動音の減少や軽量化の為には、良い傾向に思われたのでしょう。
確かにエンジンオイル交換等のメンテナンスをおろそかにすると、色々な不具合が音に現れる事もあります。打刻音的な発生がする事もあります。それは、どちらもメンテナンスをおろそかにする不具合は互角です。しかし、チェーン駆動やプッシュロッド駆動は、折損する確率は大変低いです。
チェーン駆動に再び移行する車種も
そして2000年が近づく頃から、徐々に開発当初のチェーン駆動に変更をしていくメーカーが目立ってきたのを思い出します。タイミングベルトが切れた時のリスク(安全面)を考えると、やはりタイミングベルトを減らす方向は正解に思います。当然切れると、エンジンは停止します。その条件が高速走行や、勾配の坂道でのカーブの走行時にエンジンが停止する事は事故に繋がる事にもなって行くのです。
走行中にタイミングベルトが切れると
例えばカーブ走行時にエンジンが停止すると、ハンドル操作が非常に困難になります。パワーステアリング機能が停止してしまうのです。車両重量が重い程、ハンドル操作は厳しくなります。また、ブレーキも正常に働かなくなります。エンジンによって駆動する「倍力装置」が働かなくなるのです。
ゆえに事故に繋がります。私自身もこの様な状態を体験した事があります。パニックになって冷静な判断力が出来なくなってしまいます。事故には繋がらなかった事は大変救われたことでした。そして定期交換はユーザーへの負担も掛かります。交換作業の中で追加作業も発生して金額が増える事も少なくないです。
タイミングベルト交換と同時に、ウォーターポンプの交換や回転部分(カムシャフト、クランクシャフト)等のダストシール交換が追加作業になるのです。冷却水交換やら、エンジンオイル交換といった形が請求につながるのです。作業点数が増えるのです。
そして排気量が大きくなる程、定期交換の作業が安易に出来ず、工賃が高くなり負担が増えるのです。好きで購入して、長期間の保有をすればするほどに、幾度もこのタイミングベルトの定期交換がやってくるのです。そのために、整備費用を貯蓄をするなど備えが必要になるのです。
若い方や家計が厳しい方には、痛い出費になっている事でしょう。その為に購入に繋がらない方も居ると思います。各メーカーは以上の様な面から、徐々に以前のタイミングベルトをタイミングチェーンへと移行した要因と思います。
そんな自分も…
余談ですが、「医者の不養生」とはよく言ったものだとおもいます。私はメカニックをしていて、あるドイツメーカーの車を保有しています。いまでは、レトロな部類になっていますが、定期交換のサイクルが10万キロもしくは6年間のどちらか早く到達時点での作業となっていました。
交換時期が近づいたのですが、忙しさを理由に伸ばしていました。でも走行距離に達したわけではありませんでした。いつもの時間にクルマで出勤していました。暖かい初夏の頃です。家を出て数キロ走行した頃、カーブの出口で加速をした際にエンジンがストールしました。
そうです、タイミングが切れたのです。会社に電話を入れてレスキュー依頼しました。まさに前倒しで行うべきでした。「後悔は先に立たず」ですね。