1973年に空冷リアエンジン方式の「タイプⅠ」や「タイプⅢ」などに取って代わる新世代の水冷エンジンFF車として誕生したフォルクスワーゲンの小型車「パサート」は、1988年に7年ぶり2度目のフルモデルチェンジを受け、3代目B3型に移行しました。アウディ・80との姉妹関係を解消しオリジナル設計が採用されると共に、スタイリングも一新されました。
ボディ・ラインナップを変更
ボディタイプは、5ドアハッチバックが廃止された一方で「サンタナ」の車名で販売されていた4ドアセダンが編入され、5ドアステーションワゴンの「ヴァリアント」と併せて2タイプとなりました。エクステリアデザインは、グリルレスのフロントマスクや流麗なフォルムの採用により従来からイメージが刷新されると共に、Cd値0.29の空力特性が実現されました。
ボディサイズは全長4,575mm×全幅1,705mm×全高1,430~1,500mmで、先代から若干拡大され、ホイールベースも延長され2,625~2,630mmとなりました。又、パッケージングの改善も図られ、居住スペースやトランク/荷室スペースが拡大されました。サスペンション形式は、先代同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲されました。
エンジンマウントを横置きに変更
駆動方式は先代同様FFとフルタイム4WDが設定される一方で、エンジンマウント方式は縦置きから横置きに変更されました。エンジンは当初、1.6L/1.8L/2Lの直4SOHCガソリンと、1.6L/1.9Lの直4SOHCディーゼルが用意され、先代に設定のあった直5SOHCガソリンは廃止されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTと4速に多段化されたトルコン式ATが設定されました。
日本市場には、これらの内2Lガソリンエンジン(最高出力135ps/最大トルク18.3kgm)搭載のFF車のみが導入されました。グレード体系は、セダンには標準グレード「GTタイプ-L」(4速AT)と上級グレード「GTタイプ-X」(4速AT)及び特別仕様車「GT-タイプS」(5速MT)の3タイプが用意され、ヴァリアントは「GT16V」(4速AT)のモノグレード設定でした。
装備面では、全車にフロント/リアフォグランプやエアコン、AM/FMラジオ付カセットステレオが、セダン全車にフロントスポイラーが備わる他、ワゴンGT16Vに14インチアルミホイールが、セダンGTタイプ-X/GTタイプ-Sに15インチアルミホイールや本革巻きステアリングホイールが、セダンGTタイプ-Sにリアスポイラーが、セダンGTタイプ-Xに本革シートやサンルーフ標準装備されました。
その後日本仕様車は、翌1991年10月にヴァリアントが仕様変更を受けると共に、グレード名が「GL」に変更されました。一方欧州仕様車は、同年に2.8L V6SOHCガソリンエンジン搭載車が追加された後、1993年のビッグマイナーチェンジにより4代目B4型に移行しました。日本仕様車は、翌1994年4月から新型に切り替えられました。