1973年に空冷リアエンジン方式の「タイプⅠ」や「タイプⅢ」などに取って代わる新世代の水冷エンジンFF車として誕生したフォルクスワーゲンの小型車「パサート」は、1993年に5年ぶり3度目のフルモデルチェンジ(実質的にはビッグマイナーチェンジ)を受け、4代目B4型に移行しました。基本設計は先代B3型と同一ながら、フェイスリフトによりフロントマスクが一新されました。
グリル付フロントマスクに
ボディタイプは先代同様、4ドアセダンと5ドアステーションワゴン「ヴァリアント」が設定されました。スタイリングは、基本的なボディシェルは先代と共通となるものの、特徴的なグリルレスのフロントマスクが不評であった為、グリルが備わるオーソドックスなフロントマスクに変更されました。
ボディサイズは全長4,610mm×全幅1,714mm×全高1,433~1,491mm、ホイールベースは2,624mmで、実質的に先代と同等のディメンションでした。機構面では、フロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式のサスペンションや、横置き式FF及びフルタイム4WDが用意される駆動方式などは先代と同一でした。
エンジン・ラインナップは、ガソリンは先代に引き続き1.6L/1.8L/2L(8V/16V)の直4SOHCと2.8L V6SOHCが用意され、ディーゼルは1.6Lが廃止され1.9L直4SOHCに一本化されました。組み合わせられるトランスミッションは、先代同様5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。
日本仕様には2種類のガソリンエンジンを用意
日本市場には1994年4月より、2.8L V6エンジン(最高出力170ps/最大トルク23.9kgm)+4速AT+FF方式のセダン/ヴァリアント「VR6」と、2L直4エンジン(最高出力115ps/最大トルク16.6kgm)+4速AT+FF方式のヴァリアント「GL」が導入されました。ブレーキは、全車にフロント:ベンチレーテッドディスク式/リア:ディスク式が採用されました。
ホイール&タイヤは、当初GLは14インチスチールホイール+195/60R14タイヤ、VR6は15インチアルミホイール+205/50R15タイヤで差別化が図られていたものの、翌1995年10月の仕様向上でGLもVR6と同一のホイール&タイヤに変更されました。又、安全装備面では、先代には備わらなかったSRSデュアルエアバッグシステムやABSが全車に採用されるなど、大幅な強化が図られました。
その他の装備面では、先代の一部グレードに装備されたエアロパーツや本革シートは廃止され、サンルーフは全車オプション設定となりました。そして1996年のフルモデルチェンジにより全面的な改良が施された5代目B5型に移行、日本向けは翌1997年8月からこの新型に切り替えられました。