1973年に空冷リアエンジン方式の「タイプⅠ」や「タイプⅢ」などに取って代わる新世代の水冷エンジンFF車として誕生したフォルクスワーゲンの小型車「パサート」は、2010年に5年ぶり6度目のモデルチェンジを受け、7代目B7型に移行しました。実質的に先代B6型のビッグマイナーチェンジ版で、フェイスリフトと共にエンジンのダウンサイジング化が実施されました。
日本仕様は1.4Lエンジンを搭載
ボディタイプは、先代同様4ドアセダン5ドアステーションワゴンの「ヴァリアント」が設定されました。スタイリングは、基本的に先代と共通のボディシェルを用いながらも、水平基調のフロントマスクの採用などにより精悍さを増したものとなりました。ボディサイズは全長4,769~4,771mm×全幅1,820mm×全高1,490~1,536mmで、実質的に先代と同等でした。
又、ホイールベースは同一の2,709mmでした。サスペンション形式はフロント:マクファーソンストラット式/リア:4リンク式が踏襲され、駆動方式も従来同様にFFとフルタイム4WDが設定されました。欧州仕様のエンジンは、1.4L直4ターボ/1.8L直4ターボ/2L直4ターボ/3L V6 NAのガソリン4種類と、2L直4ディーゼルターボが用意されました。
トランスミッションは、6速MTと6速/7速DSGが設定されました。日本市場では、翌2011年5月からセダン/ヴァリアントが同時に販売開始となりました。導入されたのは、セダン/ヴァリアント共に1.4L直4ガソリンターボエンジン(最高出力122ps/最大トルク20.4kgm)+7速DSG+FF方式採用の「TSIコンフォートライン」及び「TSIハイライン」の2タイプでした。
スペック面では、1.8L直4ターボエンジン搭載の先代のエントリーグレード「TSIコンフォートライン」に対し、アウトプットが38ps/5.1kgmダウンしました。その一方で、アイドリングストップ機構とブレーキエネルギー回生システムから構成される「ブルーモーション・テクノロジー」の採用と相まって、10.15モード燃費は7.6km/L向上し18.4km/Lとなりました。
派生モデル「オールトラック」を追加
安全装備面では、SRS8エアバッグシステムやEBD&ブレーキアシスト付ABS、横滑り防止装置「ESP」に加え、ドライバー疲労検知システム「DSR」が全車に採用されました。そして2012年6月、ヴァリアントがベースのボディに2L直4ガソリンターボエンジン(最高出力211ps/最大トルク28.6kgm)+6速DSGを搭載し、フルタイム4WD方式を採用した派生モデル「オールトラック」が発売されました。
続いて2013年4月、セダン/ヴァリアントに一部改良が実施され、TSIハイラインにカーナビゲーションシステムや駐車支援システム「パークアシスト」が追加されるなどの仕様向上が図られました。そして2014年に欧州仕様車がフルモデルチェンジを受け、現行型となるB8型に移行、日本市場においては2015年7月から新型の導入が開始されました。