フォルクスワーゲンは1973年6月、旧態化が目立つようになった空冷リアエンジン方式の「タイプⅠ」や「タイプⅢ」、1970年に期待のニューモデルとしてデビューしたものの販売が振るわなかったNSU社の設計による「K70」などの後を継ぐ新世代モデルとして、水冷エンジン+FF方式採用の初代「パサート」をリリースしました。
基本設計はアウディ80と共通
プラットフォームや基本メカニズムは、既に傘下に収めていたアウディNSU社の小型セダン「80」と共有し、ボディパネルも前半部分が流用されました。ボディタイプは当初2ドアセダンと4ドアセダンが設定され、共にコンサバティブなアウディ・80とは対照的な、ジョルジェット・ジウジアーロの手によるファストバックのモダンなフォルムが採用されました。
ボディサイズは全長4,190mm×全幅1,600mm×全高1,360mm、ホイールベースは2,470mmで、K70より一回り小さく、アウディ・80に対して全長が僅かに短い事を除けば同一のディメンションでした。サスペンション形式は、アウディ・80同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲されました。
又、アウディNSU社独自の機構である、急ブレーキ時の直進安定性を確保するセルフ・スタビライジング・システムも取り入れられました。エンジンは当初、アウディ・80譲りの1.3L(最高出力55ps)と2種類の1.5L(最高出力75ps/85ps)の直4SOHCガソリンが用意され、トランスミッションは4速MT又は3速トルコン式ATが組み合わせられました。
ボディやエンジンのラインナップを拡大
ステアリング形式はアウディ・80やK70同様ラック&ピニオン式で、ブレーキはフロントにディスク式が、リアにドラム式が採用されました。そして翌1974年、5ドアステーションワゴンの「ヴァリアント」と、2ドア/4ドアセダンにテールゲートを追加した3ドア/5ドアハッチバックがラインナップに加わりました。
次いで1975年には、1.5Lエンジンに代わり1.6Lエンジン(最高出力は変更無し)が設定されました。続いて1977年のマイナーチェンジにより、フロントグリルの意匠変更と共にヘッドランプが丸型2灯式から丸型4灯式に変更されました。次いで翌1978年に実施された2度目のマイナーチェンジでは、ウレタンバンパーの採用により全長が95mm延長されました。
同時に、「ゴルフ」に搭載されていた1.5L直4ディーゼルエンジン(最高出力50ps)を搭載する「GLD」が追加されました。更に1979年には、1.6Lガソリン燃料噴射仕様エンジン(最高出力82ps)を搭載する「GLE」が追加されました。そして1981年にフルモデルチェンジが実施され、2代目B2型に移行しました。