日産自動車は1994年5月、前年12月のフルモデルチェンジにより通算8代目B14型となった小型4ドアセダン「サニー」の2ドアクーペ版となる、「ルキノクーペ」を発売しました。プラットフォームや基本メカニズムはサニーと共通で、スタイリッシュなフォルムと実用性の高さを両立させたモデルでした。
2種類のエンジンでスタート
エクステリアデザインは、フロント廻りはサニーとの共通性が感じられる意匠が、リア廻りはそれとは異なるセミファストバックのプロポーションが採用されました。ボディサイズは全長4,285mm×全幅1,690mm×全高1,375mmで、サニーより全長が35mm長く、全高は10mm低いディメンションでした。ホイールベースは共通の2,535mmで、車両重量は970~1,100kgでした。
駆動方式はサニーと異なりフルタイム4WDの設定はなくFFのみで、サスペンション形式はサニー・FF車と同様のフロント:ストラット式/リア:マルチリンクビーム式が踏襲されました。エンジンは当初、1.5L直4DOHCのGA15DE型(最高出力105ps/最大トルク13.8kgm)と1.8L直4DOHCのSR18DE型(最高出力140ps/最大トルク17kgm)が用意されました。
トランスミッションは、それぞれに5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。ブレーキは、1.5L車にはフロント:ディスク式/リア:ドラム式が、1.8L車にはフロント:ベンチレーテッドディスク式/リア:ディスク式が採用されました。当初のグレード体系は、下から1.5Lエンジン搭載の「MM」「GG」「GGタイプS」と1.8Lエンジン搭載の「1.8SS」がラインナップされました。
装備面では、GG以上にエアコンとFM/AMラジオ付カセットステレオが、更にGGタイプS/1.8SSにリアスポイラーと1インチアップの14インチホイール&タイヤが装着されました。そして翌1995年5月、GG/GGタイプSをベースに専用ボディカラー「スーパーブラック」を採用した新グレード「バージョン・ブラック」が追加されました。
日産 ルキノクーペのCM
高性能グレードを追加
追って同年9月の一部改良で、全車に運転席SRSエアバッグシステムとハイマウントストップランプが標準化されました。次いで1996年1月、GG/GGタイプSをベースとした特別仕様車「バージョンS」が設定され、更に同年6月には2L直4DOHCのSR20DE改良型エンジン(最高出力175ps/最大トルク19kgm)を搭載し、専用の足回りや内外装などが備わる特装車「オーテックバージョン」がリリースされました。
追って同年9月のマイナーチェンジにより、全車に助手席SRSエアバッグシステムが、1.8SSにABSが標準化されました。次いで翌1997年9月に実施された2度目のマイナーチェンジでは、ABSが全車に標準化されると共に、1.6L直4DOHC NEO VVL(可変バルブタイミング&リフト機構)仕様のSR16VE型エンジン(最高出力175ps/最大トルク16.5kgm)を搭載するスポーティグレード「VZ-R」が追加されました。
更に、特別仕様車としてGGをベースにカーナビを装備した「ナビセレクション」が設定されました。そして1998年10月にベースモデルのサニーがB15型にフルモデルチェンジされた事に伴い、翌1999年1月に生産終了となりました。