ダイムラー・ベンツは1968年1月、それまでのW100型に代わる新たなミディアムモデルW114/115型(通称コンパクトクラス)を発売しました。リア・サスペンションが同社伝統のスイングアクスル式からセミトレーリングアーム式に変更され、操縦安定性の向上が実現した他、エンジンやボディのバリエーション拡充が図られました。
まず6種類のエンジンを用意
ボディタイプは当初はW100型同様4ドアセダンのみの設定で、スタイリングも直線基調のプレーンなフォルムなど基本なイメージが踏襲されました。ボディサイズは全長4,680mm×全幅1,770mm×全高1,440mmで、W100型からそれぞれ50mm×25mm×55mm縮小された一方、ホイールベースは50mm延長され2,750mmとなりました。
駆動方式は従来同様FRで、搭載エンジン及びグレード体系は、それまでの2L直4ガソリンエンジン搭載の「200」、2.3L直6ガソリンエンジン搭載の「230」、2L直4ディーゼルエンジン搭載の「200D」に加え、新たに2.2L直4ガソリンエンジン搭載の「220」、2.5L直6ガソリンエンジン搭載の「250」、2.2L直4ディーゼルエンジン搭載の「220D」がラインナップに加わりました。
各エンジンのアウトプットは、ガソリン2Lが最高出力95ps/最大トルク15.9kgm、2.2Lが最高出力105ps/最大トルク18.2kgm、2.3Lが最高出力122ps/最大トルク18.3kgm、2.5Lが最高出力130ps/最大トルク20.3kgm、ディーゼル2Lが最高出力55ps/最大トルク11.5kgm、2.2Lが最高出力60ps/最大トルク12.8kgmとなっていました。
組み合わせられるトランスミッションは、4速MTと4速トルコン式ATが用意されました。又、サスペンションはリアは前述のような変更が行われたものの、フロントは従来同様のダブルウィッシュボーン式が踏襲されました。ブレーキは、W100型では一部モデルのリアにドラム式が採用されていたのに対し、W114/115型では全車にディスク式が標準化されました。
ロングホイールベース仕様とクーペを追加
その後、同年10月に新たに2つのボディが追加されました。ひとつは全長及びホイールベースを650mm延長したロングホイールベース仕様で、ドアが6枚に増やされると共に、シートが1列追加され乗車定員は8名となりました。グレードは、230と220Dが用意されました。もうひとつは、ショートホイールベース仕様シャシーに2ドアハードトップボディが架装されるクーペでした。
こちらのグレード体系は、従来通りのキャブレター仕様2.5Lエンジンを搭載する「250C」と、同エンジンの機械式燃料噴射仕様(最高出力150ps/最大トルク21.5kgm)を搭載する「250CE」がラインナップされました。次いで1972年にガソリンエンジンの新たなラインナップとして、2.8L直6キャブレター仕様(最高出力160ps/最大トルク23kgm)及び同燃料噴射仕様(最高出力185ps/最大トルク24.3kgm)が加わりました。
前者を搭載するグレードはセダンが「280」、クーペが「280C」、後者を搭載するグレードはセダンが「280E」、クーペが「280CE」と名付けられました。次いで1973年のマイナーチェンジで内外装デザインが刷新されると共に、エンジンに改良が施されました。同時に、2.4L直4ディーゼルエンジン(最高出力65ps/最大トルク14kgm)を搭載する「240D」が追加されました。
続いて1974年には、2.4L直5ディーゼルエンジン(最高出力79ps/最大トルク17.5kgm)を搭載する「240D 3.0」が追加されました。そして1976年、W123型にバトンタッチして生産終了となりました。