ボルボ・カーズは第二次世界大戦中、終戦後の経済不況による小型車需要の増大を見越し、戦前に設計されたPV51系よりもコンパクトで排気量の小さい新型車「PV444」を開発、1945年2月に発表しました。翌1946年秋に販売が開始されると同時に人気モデルとなり、後にマイナーチェンジを受け「PV544」に移行して1965年まで生産されるロングセラーカーとなりました。
フロント独立懸架サスを採用
ボディタイプは当初、4人乗りの2ドアセダンのみの設定でした。スタイリングは、張り出した前後のフェンダーや分割式のフロント及びリアウィンドウが備わるなど、戦前型の名残を残した保守的なものでした。ボディサイズは全長4,365mm×全幅1,580mm×全高1,575mmで、ホイールベースはPV51系よりも200mm以上短い2,600mmに設定されていました。
サスペンション形式は、それまでの同社製モデルが4輪リジッド・リーフ式であったのに対し、フロントがウィッシュボーン/コイル式による独立懸架となった他、リアはリジッド式を踏襲しつつスプリングがコイルに変更されました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは当初、新開発の1.4L直4OHVシングルキャブレター仕様のB14型(最高出力40ps)が搭載されました。
組み合わせられるトランスミッションは、3速MTでした。その後、1950年にマイナーチェンジが実施され「PV444B」となりました。エンジンの最高出力が44psに高められた他、エクステリア面ではバンパーの形状が変更されると共に、ルーフの中央部分に「フィックスライト」と呼ばれるウィンカーが装備されました(1953年にセマフォー=腕木式方向指示器に変更)。
ワゴンやツインキャブ車を追加
次いで1953年、3ドアステーションワゴンの「PV445デュエット」がラインナップに加わりました。続いて1955年には、ツインキャブレター仕様のB14A型エンジン(最高出力51ps)が追加され、更に1957年には排気量を1.6Lに拡大したB16A型エンジン(最高出力60ps)に切り替えられました。次いで1958年にビッグマイナーチェンジが実施され、「PV544」に移行しました。
エクステリア面では、前後のウィンドウが一枚ものに変更されると共に面積が拡大された他、タイヤ径が1インチ小さい15インチに変更されました。一方インテリア面では、後席スペースが拡大されると共に乗車定員が1名増え5人乗りとなりました。又、エンジンはB16A型の他、そのハイチューン版のB16B型(最高出力85ps)が用意されました。
トランスミッションは、後者には4速MTが組み合わせられました。次いで1961年、同年デビューしたスポーツクーペ「P1800」に搭載される1.8L直4OHVのB18型(最高出力75ps/90ps)エンジンが追加されました。そして1965年10月、PV444/544合わせての累計生産台数約44万台をもって生産終了となりました。