ランチアは1960年に、プレミアムモデル「フラミニア」とエントリーモデル「アッピア」の間を埋めるミディアムクラスのニューモデル「フラヴィア」をリリースしました。専らFR車を生産してきた同社として初めてFF方式が採用された他、エンジンも同社初の水平対向4気筒が採用されるなど、画期的なモデルとなりました。フラミニアと同様、セダンの他にクーペやカブリオレも用意されました。
サスペンションは4輪リーフ式を採用
まず最初に登場した4ドアセダン「ベルリーナ」は、奇をてらわないオーソドックスなスタイリングを持っていました。ボディサイズは全長4,580mm×全幅1,610mm×全高1,500mmで、全高を除きフラミニア・ベルリーナよりも一回り小さく、ホイールベースも200mm以上短い2,650mmでした。又、車両重量も200kg以上軽量な1,210kgとなっていました。
サスペンション形式は、フロントはフラミニア同様のダブルウィッシュボーン式ながらスプリングが横置リーフ式となり、リアは古典的なリジッド・リーフ式が採用されました。ブレーキはアウレリア同様の4輪ディスク式で、当時としては先進的な装備でした。搭載されるフラット4OHVエンジンは当初1.5L の排気量で、最高出力78ps/最大トルク11.3kgmのスペックでした。
3つのバリエーションモデルを追加
トランスミッションは、4速MTが組み合わせられました。そして1962年に、ピニンファリーナがデザインを手掛ける2+2仕様のクーペ、ミケロッティがデザインしビニアーレが製造を担当するカブリオレ、そしてそれらとは全く異なる流麗なボディを持つ、ザガードの手によるクーペ「スポルト」の3タイプのバリエーションモデルが追加されました。
これらのモデルは、圧縮比を高めるなどにより最高出力が90psにアップしていました。そして翌1963年には排気量が1.8Lに拡大され、スポルト以外は最高出力が92psに、スポルトは更にツインキャブレター化などにより105psに向上を果たしました。次いで1965年に、全ボディに最高出力102psを発生する機械式インジェクション仕様車が追加されました。
ラインナップ縮小と共に全車インジェクション仕様に
そして1967年にはボディバリエーションがベルリーナとクーペのみになると同時に、ベルリーナがマイナーチェンジを受けスタイリングがリファインされました。次いで1969年に排気量が2Lに拡大され、最高出力がキャブレター仕様は131psに、インジェクション仕様は140psにそれぞれ向上しました。続いて1971年にフェイスリフトが実施されると共に、車名が「ランチア・2000」に変更されました。
同時に、最高出力はそれぞれ115ps/125psに低下しました。そして1974年に全車生産終了となりました。