
ローバー P5 (Mark I 1958-1962)
かつてイギリスに存在していた自働車メーカー、ローバーは、1958年にP4系「60/75/90/105」の実質的な後継モデルとなるプレミアムモデルP5系「3リッター」をリリースしました。堅実な設計でメカニズム面では時代遅れな面もあったものの、格式の高い内外装や品質の高さが受け入れられ、生産期間15年に及ぶロングセラーモデルとなりました。
初期型は3L直6エンジンを搭載

ローバー P5 Coupe (Mark II 1962-1965)
ボディタイプはP4同様4ドアセダンのみの設定で、スタイリングはP4の流れを汲むコンサバティブなものながらも、完全なフラッシュサイド・フルワイズ化を果たすなど近代化が図られていました。ボディサイズは全長4,737mm×全幅1,778mm×全高1,530mmで、P4から全長と全幅が大幅に拡大された一方、全高は低められていました。
ホイールベースは2,807mmで、P4から僅かに短縮されました。駆動方式はコンベンショナルなFRを踏襲し、エンジンはそれまでの2L/2.2L/2.6Lに代わり、車名から推測できるとおり3Lの直6が搭載されました。吸気側がOHV、排気側がSV(サイドバルブ)という変則的かつやや旧式な設計が踏襲され、キャブレターはSU型が1基装着されました。
アウトプットは最高出力106ps/4,500rpm・最大トルク22.6kgm/1,500rpmで、4速MTを介しての最高速度は153km/h、0-400m加速タイムは21.3sでした。サスペンション形式はフロントがウィッシュボーン/トーションバー式、リアがリーフ・リジッド式というコンベンショナルな構成で、ブレーキは当初は前後ともドラム式が装備されました。
ブレーキやサスペンションを改良

ローバー P5 Coupe (Mark III 1965-1967)
その後、ほどなくしてフロントブレーキがディスク式に変更され、翌1960年にはOD付き4速MTと3速トルコン式ATの選択が可能となったほか、パワーステアリングがオプション設定されました。さらに1961年に小改良を受けマークⅠAに移行、次いで1962年には初のマイナーチェンジが実施され、マークⅡとなりました。

ローバー P5 Coupe (Mark III 1965-1967)
外観上は三角窓が新設されたことが特徴で、機構面ではサスペンションに改良が加えられました。同時にエンジンにも改良が施され、アウトプットが最高出力123ps/5,000rpm・最大トルク22.1kgm/1,750rpmとなり、最高速度は174km/hまで向上しました。また、全高を90mmほど低めた「3リットルクーペ」(ボディタイプは4ドアセダン)が追加されたこともマークⅡの特徴でした。
エンジンを3.5L V8に置換

ローバー P5 Coupe (Mark III 1965-1967)
次いで1965年に2度目のマイナーチェンジが実施され、マークⅢに移行しました。マークⅡからの変更点は、エンジンの出力向上やトリムの変更など小規模に留まりました。続いて1967年に3度目のマイナーチェンジを受け、P5B型「3.5リットル」に移行しました。最大の変更点は、エンジンが3.5L V8OHV SUツインキャブレター仕様(最高出力163ps/5,000rpm・最大トルク29.1kgm/2,750rpm)に置換されたことでした。

ローバー P5B Sedan (1967-1973)
それにともない、標準化された3速ATを介しての最高速度は185km/hまで向上しました。また、フォグランプが追加されたことや、パワーステアリングが標準化されたことも変更点のひとつでした。そして1973年をもって生産終了となりました。